遊技機を開発・製造・販売するユニバーサルエンターテインメントグループが、2016 年12 月にフィリピン・マニラに開業した統合型リゾート(IR)「オカダマニラ」。施設面積は44 ヘクタール。カジノはテーブル500 台、スロットマシン3000 台を備える。客室数は約1000 室で、スタンダードタイプの60㎡から、最も広いヴィラタイプの客室は1400㎡。客室だけを見ても、日本では類を見ない圧倒的なスケールである。レストンは各国料理からカジュアルフードまで多種多様な店舗を展開。「まだ全店が開業していないが、将来的には20 店舗になる予定」(杉山氏)。
オカダマニラは30 カ国以上の国籍を持つスタッフで運営されており、正社員で約8000 人。間接雇用で約1 万人、工事建設などのピーク時で約2 万人の雇用を創出したという。大岩根氏からマニラのIR 事業ライセンスを獲得した経緯について聞かれると、杉山氏は「最低落札額は1000 億円以上でコンペが行なわれた。当社は最終的に2400 億円を出資した。マニラで事業展開しようと考えた理由は、経済発展が見込める地域であり、かつ、フィリピン人の平均年齢が約23 歳というのがポイント。若い労働力の採用に困らないと判断した」。
オカダマニラのコンセプトは街づくりで、雨が多いフィリピンの気候を意識した全天候型のIR を建設した。杉山氏は「日本の“ おもてなしとまごころ” と、フィリピンならではの“ 親しみと笑顔” を併せた、きめ細やかなホスピタリティによって、国内外からのお客さまをお迎えします」と語る。開業後の顧客はフィリピン人、日本人、中国人の順で、国内客が約70% を占めるという。
杉山氏に日本版IR の事業参画について質問が及ぶと、「非常に興味があるが、マーケットを調査する必要がある。フィリピンでIR を運営して、想定外の困難もあった」と慎重に言葉を選んだ。7 月20 日にIR 整備法案が成立し、早ければ2025 年前後に日本にカジノを含む統合型リゾートが誕生する。それまでの間、オカダマニラのように、海外でIR 事業に参画する企業が現れてもおかしくないだろう。