ポルトガル北西部、山と大西洋との間にあるヴィーニョ・ヴェルデは 2万1000 ha におよぶ 9つのサブリージョンと、約600の醸造ボトラー、約2000のワインブランドを持ち、固有ブドウ品種は約45種類ある。
ヴィーニョ・ヴェルデとはポルトガル語で「緑のワイン」を意味するが、そのワインの色が緑というわけではない。生産されているワインは86%が白で、ほかにもロゼ、赤、スパークリング、スピリッツもある。多くは若摘みのブドウを使用しており、フレッシュでアルコール度数が低いことからとても飲みやすく、微発泡の白ワインが特に注目を集めている。
このレポートでは、日本の食文化にも相性が良く、日本のワイン業界で注目を集めているヴィーニョ・ヴェルデに迫る。
「ヴィーニョ・ヴェルデ」は画定地域制定 110 周年を迎え、1908 年に憲章発行、法令が発布され、ヴィーニョ・ヴェルデで生産されるワインの品質向上、および生産・流通の統制がとられた。1984 には DOC(Denominação de Origem Controlada)となり、CVRVV(The Comissão de Viticultura da Região Vinhos Verdes)の管理のもと、現在に至る。
ポルトガルは、一人当たりの年間ワイン消費量が約 43.7 リットルで、世界第 4 位とフランスよりも多い。ヴィーニョ・ヴェルデのワイン造りは紀元前に始まったという長きにわたる歴史を誇り、ワインを愛する国である。
制定 110周年にあたり、CVRVVプレジデントのマヌエル・ピニェイロ氏は次のように述べた。
「ヴィーニョ・ヴェルデの人気は年々高まっており、現在生産量の 45%が 100 以上の海外市場に輸出されております。上位の市場は米国、ドイツ、フランスです。日本におけるプロモーション活動は 2015 年に開始し、その成果により 2014年に170,702リットル/398,112ユーロであった対日輸出は、2017 年には315,664リットル/822,424ユーロと約2倍に伸長しております。ポルトガルは長きにわたり日本と深い友好関係にあり、山と海の美しい自然をもち、その恵みである魚介類や米料理をはじめとする美食を愛するという共通点もあります。爽やかで飲みやすいヴィーニョ・ヴェルデはどんな食事にも合うワインですが、日本のすばらしい和食とのペアリングにも自信をもってお勧めします。日欧EPAの調印により、EUからの輸入ワイン関税が早ければ、2019年春には撤廃されるので、日本の皆さまにヴィーニョ・ヴェルデの良質なワインをもっと気軽に楽しんでいただける好機として大いに期待しており、日本における 2018 年ヴィーニョ・ヴェルデプロモーションとしてヴィーニョ・ヴェルデ日本オフィスでは試飲会2回(東京と大阪)をはじめ、産地ツアーやテイスティングセミナーを開催しております。日本市場における更なる認知度向上と拡販を目指し、今後も継続的にプロモーション活動を実施してまいります。」
そのポルトガル、ヴィーニョ・ヴェルデ ワイン コミッション(CVRVV)主催による「ヴィーニョ・ヴェルデ」産地ツアーが開催された。CVRVVはヴィーニョ・ヴェルデの生産者とマーケティング等を調整するために1926年に設立された専門連携型の団体であり、Vinho Verde Controlled Appellation of Origin(CAO)とMinho Geographic Indication (GI)を成す地域および国有遺産を守ることを目的としている。
この地域のワインづくりはロウレイロ、トラジャドゥーラ、アルヴァリーニョなどの固有のブドウ品種を用いたユニークなブレンドを特徴としており、2000年以上前からワイン作りをしているヴィーニョ・ヴェルデは、ポルトガルの中でも最古のワイン産地であり、ヨーロッパ最大規模のワイン産地の一つとされている。
ツアーではまず、ヴィーニョ・ヴェルデワイン協会(CVRVV)本部へ行き、ヴィーニョ・ヴェルデ全体のプレゼンテーションを受けた後、テイスティングで主要なワイン、品種を確認した。
漁に使うタモ網を利用して作った漁師町アンジェイラスのモニュメント