2016 年、創業7 年で東証マザーズへの上場を果たしてから2 年。その後も業績は好調に伸び続ける「串カツ田中」に外食産業からの注目は集まり続けている。そこで今回は「串カツ田中」を率いる貫啓二社長にお話を伺った。
貫 啓二 氏
(Keiji Nuki)
1971年1月大阪府生まれ。高校卒業後トヨタグループの会社に就職。お客さまの笑顔と直に接する仕事に就きたいと27 歳で退職し素人のままBAR を開業。このとき、副社長となる田中洋江氏と出会う。その後、デザイナーズレストランをヒットさせ、東京に進出。京懐石レストランを表参道にオープンし、注目される。ところがリーマンショックを機に倒産寸前に。大阪に帰る準備をしていたところ、かねてより探していた田中家秘伝の串カツレシピを発見。そのレシピをもとに2008 年12 月に創業した「串カツ田中」がヒット。16 年マザーズ上場。地域に愛され必要とされ続ける店を作り、串カツで一人でも多くの笑顔を生むべく、全国展開を加速させる。現在国内外全189 店舗(2018 年5 月12 日時点)。
来るべきときに備えたホールディングス化
❒ 株式上場に続き、ホールディングス化したことで話題となっていますがなぜ今、ホールディングス化されたかお聞かせください。
まず当社の現状についてお話しすると、現在(取材時2018 年4 月)国内で186 店舗を運営し、今期216 店舗を目標としています。この内、直営店が約4 割、FC が約6 割で以前と比べここ数年で直営店比率が増しています。今後も直営店比率が高くなっていく予定です。また今期売り上げは75 億円を目標としています。その上で「串カツ田中」出店の長期目標としては以前から申しあげていますが、全国で1000 店舗というのがあります。ただ当社は上場企業ですので事業拡大もミッションとしてある。会社が成長した際に当社として次の展開に着手する必要が出てくると考えています。その際に例えばM&A であったり、海外での展開なり、企業としての成長していく上での事業拡大チャンスが到来した際にそれらをスムーズかつ有効に活用できる環境を整えておくことが望ましいという観点から、プロセスも含め早い段階でホールディングス化しておくことがよいとの考えから移行に踏み切りました。
❒ 将来的な展望にはM&Aも視野に入っているのですね。
今現在、具体的にどういった企業、業態をといったことをお話しする段階にはありませんが、可能性としてはあると思います。
❒ 海外展開についてはいかがですか?
現在、海外事業についてはシンガポールとハワイでの展開をしていますが、それらは戦略として強く推進したというよりも“パートナー企業との出会いの結果”という意味合いが強い面があります。おかげさまで非常に優秀なパートナー企業と組めたおかげでいずれも評価をいただき、業績も上がっています。しかしさらなる展開については積極的にスピード化を考えているわけではなく、基本的には国内展開に力を入れたいと考えています。やはり海外で事業するというのはハイリスクローリターンという面がありますし、そういったチャレンジよりも今は国内での展開においてすべきことがまだまだたくさんあるのでそちらにより力を入れて取り組むときだと考えています。