向ける視線が間違っている
先月泊まった新潟県内のホテルの客室から洗面所入り口の段差が27㎝もあった。これは昔建てられた当時のホテルの考え方が、お客さま目線よりも自分たち都合が優先。つまり万一お風呂のお湯がユニットバスから客室にあふれたら、じゅうたんや階下への漏れを心配しての安全対策と考えられる。当時私もホテル現役時代は若かったから、この27㎝の段差に違和感を覚えたことは一度もなかったが、退職して歳を重ねるごとにこの段差を乗り越えるのは至難の業になってきた。何を言いたいかというと、ホテルのリーダーは今やっていることがすべて正しいから頭をいったん切り替えて、もし自分が70 歳になったら不都合な点がないか総点検されてはいかがでしょう。まず差し当たりの提案は27㎝前後の段差のあるホテルは、軽いプラスチックでできた約半分の高さの15㎝くらいの踏み台を用意するか、バスルーム入り口の両側に手すりを設けられてはいかがでしょう。逆に泊まり客目線で見てまったく必要性を感じられないのは、トイレカバーの消毒済みの帯もまた、グラスの消毒済みビニール袋もいらない。いくらホテレスで取り上げても何も変わらなければ学んだとは言えないのである。
時代の流れ
ホテルを辞めてからおもてなし講師として全国の団体や企業からセミナーを頼まれる中、私が所属した倫理法人会という団体だけでも既に130 回の依頼を超えたが、講演依頼で県外に出向くときは、ほとんどの場合相手持ちで各県のシティホテルに泊まることが多い。ところが同じシティホテルなのにまれに10 時チェックアウトのホテルがある。もちろんお客さまによっては早々に帰られる人もいれば、私みたいに次の講演先まで時間が空くと、ネットが使えるお部屋で仕事したいのに残念でならない。最近はメンバーズカードを作ると、自動的に12時まで延長できるホテルが増えてきた中、ぜひお客さまの声なき声に耳を傾け11 時チェックアウトの検討を。
第122 回
鈴木 忠美 次世代リーダーたちに贈るメンタルケア術 これからの人材育成
第122 回「お客さま目線に寄り添う」
【月刊HOTERES 2017年07月号】
2017年07月21日(金)