NPO 法人アレルギーっこパパの会
理事長
今村慎太郎
Shintaro Imamura
〈Profile〉娘の食物アレルギーをきっかけに、アレルギー対応力が高い企業が食物アレルギーのない人たちから選ばれる社会を目指し、2013 年NPO 法人アレルギーっこパパの会を設立。研修・講演、メニュー開発やコンサルティング、アレルギー対応のためのコミュニケーションWEBサービス「アレコミュ」で、ホテルや飲食店など外食企業のアレルギー対応支援を行なっている。
NPO 法人アレルギーっこパパの会
http://www.arepapa.jp/
本誌にて連載開始から2年となりました。この2年の間にアレルギー疾患対策基本法の施行、食品表示法の改正、学校給食ではアレルギー対応ガイドラインの策定と実施等、制度策定から実行の段階へと移行しています。外食業界においても、連載開始前に比べ、自主的な取り組みではあるもののアレルゲン表示やアレルギー対応に取り組み始める企業が増えたことを実感しています。この2年間は食物アレルギーがある人たちやその家族のみならず、食品に関わる人たちにとっても重要な出来事が重なった期間となったのではないでしょうか。しかし、外食業界を食品製造企業と比較すると、知識、取り組み状況、取り組み姿勢において、まだ大きな差があると感じています。今回は、この2年間を振り返りつつ、外食アレルギー対応に残る課題について考えたいと思います。なお、本誌において使用している「アレルギー対応」は表示をすることではなく、食物アレルギーがある人から申告があり、個別に対応することを想定しています。
コミュニケーションの重要性
食物アレルギーがある人たちが、安全に安心して外食ができるようになるためには、まず外食現場の人たちの安全と安心が必要であると考え活動しています。外食現場の人たちがもっと安全に、もっと安心してアレルギー対応ができるようになるためには、何が必要なのか、何を解決しなければならないのか考える日々を過ごしています。現状の外食アレルギー対応の課題を考えたとき、大小さまざまな課題がありますが、根本的かつ難易度の高い課題(現時点で解決は難しいが、解決されることによって前進する課題)に「コミュニケーション」「コンタミネーション」があると思います。