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第242 回 北村剛史  新しい視点 「ホテルの価値」向上理論 〜ホテルのシステム思考〜

第242 回『ホテルの人格コントロール手法』

【月刊HOTERES 2016年11月号】
2016年11月11日(金)
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Profile
北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MAI( 米国不動産鑑定士 )
MRICS(英国王室認定チャータードサーベイヤーズ)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事

 
 これまで幾度となく、ホテルの「人格」について触れてまいりました。弊社の調査では、ホテルや旅館での滞在体験を通じて「これまでにホテル・旅館に対し人格を感じたことがあるか」という質問に対して、約21%の人が「ある」と答えていました。施設カテゴリーで見ますと人格性を感じたという人の約46%が旅館でした。また約28%がリゾートホテルであり、約19%がシティホテル、約7%がビジネスホテルという結果でした。さらに「人格を感じたホテルにまた行きたいか」という質問に対しては、なんと約88% の人が「頻繁に行きたい~いつか行きたい」と答えています。「感じた人格が具体的に「誰」に近いと思うか」という質問に対しては、多くの人が「フロントスタッフ」や「接したスタッフ」に近いと答えていました。旅館では特に「女将」の影響を強く受けているようでした。これらスタッフ以外で人格性の源泉を探りますと、「全体を通じて自然に生じていると思う」という回答が多く、その他「ブランド」、「支配人」、「客層」へと続きます。
 
 このようにホテルや旅館でのさまざまな滞在体験から顧客はホテルに対して何らかの人格性つまり「パーソナリティー(性格特性)」を感じ取っているのです。このように「人格」を感じることとは、そのホテルにそもそも「深く共感」した結果であり、望ましい「人格」を感じさせることができれば、そのホテルに対する印象をより良くすることができるはずです。暗い雰囲気や、ネガティブな感情を引き出すようなホテルや旅館では、顧客が認知的に積極的な関与をして擬人化することもなければ、スタッフの動きに目を奪われることもないはずですので、「ホテルや旅館で人格を感じ取る」場面とは、総じて好意的な場面が多いはずです。このように、ホテルや旅館の「人格」の鍵を握っているのは、まずは、顧客と接するスタッフであり、それを包含し、客層を含めた全体の質感が重要な要素となっているのです。

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