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出版記念インタビュー 

㈱フェイス 代表取締役 福永有利子氏

【月刊HOTERES 2015年05月号】
2015年05月21日(木)
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太田 出版記念パーティーではご両親もよろこんでいらっしゃいましたね。
 
福永 昔から心配ばかりかけてきた私が、本を出版できるまでに成長したことに、本当によろこんでくれました。一人前に仕事をしているんだということを本の出版や、出版記念パーティーにお集まりいただいた方々を見て実感したようです。子どものころから、そしてウエディングプランナーになってからも、本当に心配や迷惑ばかりかけてきましたからね。両親、姉、そして職場の上司やお世話になった社長様方にとても心配をかけてきました。今でこそ“ウエディングではコンセプトが重要!”と提唱していますが、ウエディングプランナーを始めたころは、コンセプトなんてどうでも良くて、一件でも多く受注できればいいと接客に率先して挑んでいました。セトレ舞子でお世話になりました㈱ホロニックの長田一郎社長には、そんな調子でよく反発したこともありました。
 
太田 ところが今は長田社長が言っていたことが理解でき、提唱するまでにいたったわけですね。自身を変えたきっかけはどんなことがあったのですか。
 
福永 レストランやゲストハウスのウエディングプランナーから管理職の経験を経て、堂島ホテルのウエディングの部長を務めるようになってからです。ホテルの場合、ウエディングに特化していないので、ウエディングの思いやこだわりが伝わりにくく、実績を上げることが難しいことを実感しました。ホテル全体のコンセプトはあるのですが、それがウエディングの思いやこだわりとイコールになりません。何とかして自分たちの熱い思いをホテルウエディングの来館者に伝えることができないか…、そのためにはコンセプトが必要であることに気がついたのです。ウエディング独自のコンセプトです。強みを見出し、お客さまに分かりやすく、伝わるコンセプトでなければ気持ちが伝わらないということです。コンセプトを軸に撮影・パンフレット製作やホームページ、接客トークなどすべて見直し、統一したカラーを押し出していくことがお客さまに伝わり、結果的に成果につながることを実感しました。このときから、コンセプトの大切さを身にしみて感じさせられたのです。
 
太田 そこに気づいたことは素晴らしいことです。ところで本のタイトルに掲げられていますが、アカン上司が多いのはホテルではありませんか。
 
福永 やらなくてはいけない、変わらなくてはいけないということは理解されているのですが、どうしても行動として一歩踏み出せない傾向にあります。でも…、だけど…という言葉をよく耳にしますね。プランナーの人数が少ないとかスキルが低いなど理由はあるにせよ、目標達成できないことを部下に押しつける嫌いがあります。チームのトップが部下を幸せにする! そのためには何が何でもやり切る! という本気さに欠けているのではないかと思います。
 
太田 数字を上げるのは自分という意識を持ち、チャレンジし続けなければなりません。特に競争激化で各社ともに厳しい状況の中、できない理由を並べていては始まりません。
 
福永 ある方から管理職に対する特効薬的な得策はないものかという質問がありました。“やらなくてはならないことをやらずして結果は出せない!”“一つ一つやらなければ結果につながらないという強い意思を持って、やるのみです”とお答えいたしました。小手先で済まされることではなく、責任者・管理職が真剣に取り組めるか否かしかありません。数字を上げるのは部下でも誰でもなく自分しかありませんから。
 
太田 確かにその通りです。いい例というか、プラスの事例はありますか。
 
福永 数字が動き出すと何ごともスピードアップしますね。言われたことをやったら本当に数字が動くんだということが自覚できると、できたことへのよろこびから積極的、自発的に動き出します。もっと上を目指そうという意欲が芽生え、チーム内もムードも良くなり、ますます速いスピードでステップアップしていきます。活気あふれ、その活気がお客さまにも伝わり、件数も獲得できるようになります。
 
太田 まずはできるんだという自信をつけることですね。しかし、ウエディング業界は離職者が多いですよね。
 
福永 女性が多い職場ですから、職場環境や労働環境の問題はさておき、どうしても結婚や出産で辞めてしまうケースが多いです。プランナーとして成長しようやく一人前になり、これから!というときに結婚や出産などで退職してしまいます。また最近は業績の良いプランナーほど、他社に引き抜かれるなど責任者としては痛手なことも多々あります。特にエースが一人しかいないケースは危険です。成約率の高いスタッフが辞めたとたんに業績もガタ落ちになります。そのためにも日々の人材育成は重要です。新人や中途採用のスタッフに伝えられるマニュアル作りも欠かせません。
 
太田 ウエディング業界を見ている限り、マニュアルを作成しているところは少ないでしょう。
 
福永 その通りです。ほとんどマニュアルがないと言っても過言ではありません。多忙な中、手取り足取り教えなくても日常的な基本的な仕事や書類作成、提出する書類の作成など、マニュアルでまとめておけば新入社員でも中途採用でも分かります。ところがマニュアルがないと初歩的なことと分かっているがために聞きにくかったり、なかなか忙しそうにしている先輩に声がかけられなかったり、誰に何を聞いていいのか分からなかったりなど戸惑ってしまいます。戸惑っている時間は作業が止まりますので、仕事も進みません、悪循環です。
 
太田 とにかくこれから未来のある人たちを辞めさせないよう、どうモチベーションをアップさせるかが大切です。そのためには基本となるマニュアル、そして集客の要となるコンセプトは最低限持たなくてはなりませんね。
 
福永 ウエディングは本当に素晴らしい仕事です。それだけに管理職の方々には、夢をあきらめさせないウエディングプランナーたちのために、強い意思を持って本気で取り組んでほしいですね。今回出版した本に書かれていることは誰もが知っていること、分かっていることかもしれませんが、できていないことも事実です。もう一度、基本に立ち帰り、真剣にみんなで新たな一歩を踏み出すためのきっかけとなっていただければ本望です。
 
太田 一冊と言わず、どんどん新たな本を生み出し、業界や業界を超えた業種にも響く一冊に期待しています。

㈱フェイス 代表取締役
福永有利子氏
【プロフィール】レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003 年にウエディングプランナー養成スクール講師をはじめ、06 年より大学にて非常勤講師として教壇に立ち、現在も教鞭を執っている。06 年堂島ホテル婚礼部長に就任、その後08 年同ホテル副総支配人に昇任。09 年㈱フェイスを設立し、代表取締役に就任。現在はホテル・ゲストハウスを主に成約率向上を目的としたトレーニングや集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、ウエディング全般にわたる支援を行なっている。

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