持たないゆたかさを実現する社会を目指す「Less is More(レス・イズ・モア)」の思想を軸に置きながら、ホテルや旅館の寝具をレンタルの形で提供する「プロレンタルサービス」を展開する株式会社コンフォートアライアンス。羽毛ふとんを中心に、高品質な寝具を必要なときに必要な形でマーケットにおいてシェアしていく仕組みは、これからの時代のニーズに的確に応えられるビジネスモデルとして注目される。ホテル・旅館や地場のリネンサプライと、寝具のレンタルビジネスを通じてWin-Win-Win の関係を構築していこうとしている取締役会長、佐藤雄三氏に、新時代のビジネスの在り方についてインタビューした。
左:当社 村上、右:㈱コンフォートアライアンス 取締役会長 佐藤 雄三 氏
ホテルが羽毛ふとんを洗わずに
使っている理由が分かった
――コンフォートアライアンスでは、羽毛自体の品質でふとんの価値が決まるという主張をされています。
某大手ホテルの羽毛ふとんを私たちがすべて入れ替えた際、古いふとんがまだ5年程度しか使っていないものだったので、短期レンタル用に使おうと下取りしました。ところが洗ってみると、ふとんから羽毛が吹き出してきたのです。そこで調べてみたところ、入れ替え前に使っていたふとんはレギュレーション通りに作られていない製品であることが分かったのです。
ダウンプルーフ加工を施した生地に関して、組成に適した縦糸と横糸の本数がありますが、その製品は横糸が30%程度少なく、それをごまかすために樹脂が塗られていました。一回洗濯したら樹脂が取れて、縫い目の隙間から羽毛が飛び出てきたわけです。
さらに通気度についても、レギュレーションが守られていませんでした。JIS規格では2.5 以下の通気度と定められているのですが、サンプル1が8.57、サンプル2が5.39 でした。これではふとんから羽毛が飛び出してしまうのも無理はありません。私たちがレンタルで使用している羽毛ふとんの通気度は1程度ですから、どれだけ品質の低い羽毛ふとんをホテルが使わされているのか分かっていただけると思います。
しかもこうした現状に、ほとんどのホテル関係者は気づいていません。人間は一晩にコップ一杯分の汗をかくと言われているにもかかわらず、15 年もの間、同じ羽毛ふとんを洗うことなく使い続けているホテルもありました。60℃以上の温度をかけて一度でも洗ってしまうと、ふとんから羽毛が飛び出てきてしまって使いものにならなくなるため、洗濯したくてもできなかったのです。
それほどまでに品質の低い羽毛ふとんを購入して、洗わずに使い続けるよりも、私たちが取り扱っている品質の高い羽毛ふとんをレンタルする方が大きなメリットにつながると思います。