ホテル・ニッコー・ハノイ 総支配人 田中 智 氏
アジアの時代。日本を離れ、本邦からの投資や往来を目撃する環境にあって強く感じることはそのことです。
ベトナム人や急ピッチで豊かになるアジアの人々にとって、日本は間違いなく憧れの国です。その理由は、日本食、美しい自然や景色、整ったインフラ、治安の良さや人々のマナーの良さなど、本当にさまざまです。中でも群を抜いて知名度のある「富士山」は、見る人の情報量により違いはありますが、象徴的な存在感です。
数年前、ノーベル賞受賞者を輩出した民間企業の社長がベトナム人学生を前に奨学金を授与する講演で「高い山ほど裾野は広い」というお話をされていました。富士山が美しいのは裾野が広いからだという話。基礎を大事にすること、専門知識を身に着けることももちろん大事だけれども、専門以外の領域にも幅広く関心を持ち、引出しを増やすことで将来いろんなことに適応できる力、常識を飛び越えたアイディアを産出し、それを具現化する力になると仰ったのですが、とても腑に落ちる話でした。
ホスピタリティーの世界では、価値を提供する側も対価を払って価値を購入するのも生身の人。建物や装備の品質だけでなく、直接ゲストに対応するスタッフの人間力が評価の根幹です。単純に見える作業にも工夫のしようがあり、一言の挨拶にも姿勢や声調などでまるで印象や見栄えも違います。
人さまざまに違う価値観や好みを察知し、一人一人のゲストに合わせたサービスを提供するには、まずはスタッフが幅広いことにアンテナを張っていくこと。手間を惜しまずにきめ細やかに対応するには、スタッフ自身の人間力や経験が充実していて適応力が高いことが求められます。
実際の接客に限らず、人や経営資源を運用して組織として結果をコミットするのもまた人次第です。マネジメントとしては、そうした一人一人の個性や経験にも目を配り、多様な才能や人材の組み合わせで適応力を高め、個々人の器量を伸ばすことに全力を上げて取り組んでいます。
ホテル・ニッコー・ハノイ
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