

2016 年2 月29 日、ホテルメトロポリタンエドモントにて、同ホテル中村勝宏総括名誉総料理長の書籍『中村勝宏の魂の食対談~本物を求めて~』出版記念パーティーが開催された。同書は、小誌「週刊HOTERES」で2012年から約2 年半連載していた対談「中村勝宏プレゼンツ~業界への一石」をまとめ、対談集として発刊。同書の発刊を祝して行なわれたイベントには、対談相手となった料理人たち、そして中村勝宏シェフを慕う大勢の方々が全国から詰めかけ、盛大に執り行なわれた。


代表発起人の外交評論家・磯村尚徳氏は「中村シェフは1970 年に渡欧しスイスを皮切りに研鑽を重ね、79 年3 月パリの「ル・ブールドネ」で日本人シェフとして、初めてミシュランの1 ツ星を獲得されました。その後23 年間は日本人シェフが星を取ることはなかったと記憶しております。そのような素晴しい功績をお持ちの中村シェフの祝賀式典で発起人代表を務めさせていただいたことに感謝している」。同じく、小社社長太田 進は、何よりも中村シェフとの対談に合意していただいたプロフェッショナルの方々に多大なる感謝を述べつつ、「対談は料理を奏でるようにうまく引き出していただき、貴重なメッセージがまとめられた。中村シェフは、年齢を感じさせないアグレッシブさがみなぎっている。次世代にますます刺激を与えてほしい」また、来賓代表の文化人類学者・民俗学者・農学博士の石毛直道氏は「出会ったころ1980 年代半ば、あるレストランで中村シェフが席まで来て話してくださったのがうれしく印象的だった。単なるシェフとグランシェフの違いは本にも書かれているように、人材育成や経営力を備えている力の差。一流のシェフは人間的にも一流をめざすようになる」とそれぞれコメントした。


対談メンバーで、当日参加可能だった9 名のシェフから対談時のエピソードが語られた。最後に中村氏は、料理の世界に入った18 歳から渡欧を経て、フランスのシェフたちの朝から晩までみっちり頑張る姿に刺激を受けてきたこと。そこで気力、体力、人脈を培って今があることに触れ、「先人があるから今がある。それを次世代に伝えるためにはまだまだやれることはあるはず。対談いただいた16 人のシェフたちとの出会いがあって、今がある。私にとって心の財産となるような対談だった」と締めくくった。




固い握手を交わす、中村勝宏シェフ(左)と小誌の太田