国連世界観光機関(UN Tourism)駐日事務所
代表
本保 芳明 氏
観光・宿泊業の持続可能な未来に貢献
国際観光はパンデミックによる危機を乗り越え、昨年は多くの国・地域でパンデミック前の水準を超える国際観光客を迎え入れました。観光消費も力強い回復を示しています。
しかし、私たちはパンデミック前の観光に戻ることを目指しているわけではありません。世界はより持続可能で、強靭で、包摂的な観光を志向しており、日本においても、各地で持続可能な観光に向けた取り組みが進められています。
UN Tourismが表彰する「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に、昨年は山形県西川町と鹿児島県天城町が選定され、計11地域が持続可能な観光を目指す国際的な農漁村観光地の仲間に加わることになりました。世界に先駆けて、国内の地域同士の連携を強化し、情報共有や相互啓発を図るための枠組みも構築されています。
また、パンデミックから回復した今こそ、将来の危機や自然災害の影響を防ぎ、または最小化するために備えることの重要性を改めて認識する必要があります。昨年11月には仙台において、観光庁とUN Tourismの連携のもと「観光レジリエンスサミット」が開催され、観光のレジリエンスの向上に向けて「仙台声明」が取りまとめられました。
こうしたことも踏まえ、当事務所では世界の知見・知識の共有や能力開発の機会の提供、連携の枠組みの支援等を通じて、観光・宿泊業界の持続可能性、強靭性の向上に貢献してまいりたいと考えています。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。