一般社団法人日本旅館協会
会長
桑野 和泉 氏
今年こそ
1年のはじまりの日にはいつも新たな気持ちで「今年は去年よりももっといい年にしよう」と決意し、明るい1年間を想像して思いを馳せています。昨年、そんな決意をした直後に起きたのが能登半島地震でした。
自然災害はお正月でもお盆でも関係なくやってきます。「天災は忘れたころにやってくる」のではなく、今はいつどこでもやってくる時代です。お盆シーズン直前に起こった宮崎県日向灘での地震と、その後発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」もそのうちの一つです。昨年6月に会長に就任してから、災害への対応に頭を悩ませた半年間でした。
災害に強い業界にするためには、地域の中での業種を超えた横の繋がりに加えて、行政、官公庁との縦の繋がりを強固なものにしていく必要があります。平時のときからさまざまな関係機関と関わりを持つことを重要視しながら、本年も事業に取り組んでまいります。
また今年4月には待ちに待った「大阪・関西万博」が開催されます。多くの方に私たちの国の文化を知ってもらうチャンスであるのと同時に、オーバーツーリズムの問題もさらに大きなものになると思います。
観光に携わる者としてその地域の歴史をより深く、正しく伝えていかなければならないと強く感じています。私たち宿泊事業者は「訪れるすべての人に地域の素晴らしさを伝える」という責務を担っているのだと思います。ここは地域と一体となって、具体的な動きにしていく必要があると考えています。
災害に正しく備えること。そして宿泊業界が地方創生の担い手となれるように、地域とともに取り組んでいくことが最も重要です。「リョカン=RYOKAN」が世界共通語になる日に向けて、さまざまな活動を続けてまいります。