韓国最大手のOTA「ヨギオテ」を運営しているヨギオテカンパニーは、2014 年に設立され、22 年の投資誘致時に企業価値が1 兆2000 億韓国ウォンを超えたユニコーン企業。「ヨギオテ」は20 ~ 30 代を中心に月間の利用者数が400 万人超で、韓国内で展開する旅行プラットフォームアプリのダウンロード数はナンバーワンという。22 年からは日本を含む海外旅行のサービスも展開。24 年には(株)ヨギオテジャパンを設立し、日本市場への送客強化を図るとしている。日本の宿泊業への貢献について、代表取締役チョン・ミョンフン氏に聞いた。
構成・本誌:森下智美
確かな手ごたえを得た事業説明会「はじめて、ヨギオテ」
── 2024 年5 月30 日に東京で行なわれた(株)ヨギオテジャパン設立に伴う事業説明会には、大勢の宿泊事業者や旅行関連機関が参加されました。韓国内で確固たる地位を保つ「ヨギオテ」とは、どのようなプラットフォームなのでしょうか。
「ヨギオテ」は、韓国の旅行プラットフォームとして月間約400 万人が利用し、1,100 万人を超えるアクティブユーザーのうちコア層は20 ~ 30 代という構成です。運営する(株)ヨギオテカンパニーの業績は、2023 年の取引高1 兆7500 億ウォン(約1,944 億円、前年比16.7% 増)、営業利益464 億ウォン(約51 億円、前年比54.2%増)と好調に推移しています。弊社では、モバイルの発展を見越したマーケティングが奏功し、デジタルネイティブを早くから獲得できたことで現在のポジションを確立できたと考えています。
また、韓国人は海外旅行に対して非常に高い関心を持っています。昨年、海外に出国した韓国人の数は2,300万人でした。今年は新型コロナ禍以前の水準である2,900 万人まで増加する見通しです。これに対し、昨年の日本人の出国者数は1,000 万人であり、人口比で考えると韓国人の海外出国者は日本の6倍の水準です。そのうち約30%が日本に向かいますから、これは想像以上に大きな市場といえるでしょう。さらに、ヨギオテ利用者のコア層はZ 世代などデジタルネイティブで、海外旅行時にはツアーではなく自由旅行をする顧客が多くを占めます。また、海外旅行者のうち約60%が日本へ渡航しています。特に西日本エリアの人気が高く、九州においてはインバウンドの60% 以上が韓国人です。さらに、日本全体のインバウンドのうち韓国人は28%を占め1位という現状も、市場拡大の機運を高めています。この傾向が続けば近い将来、韓国から日本へのインバウンド数は現在の2倍になる可能性もあるのではないかと考えています。
(株)ヨギオテジャパン
代表取締役
チョン・ミョンフン氏
Myunghoon Chung
1977年生まれ。1995~99年 ソウル大学 機械工学学士、2003~05年 ジョンズ・ホプキンス大学 国際経済学修士、~06 年 インシアードビジネススクール MBA、~07年ABN AMRO 投資銀行部門シンガポール事務所、~08年 クレディ・スイス投資銀行部門ロンドン事務所、~12年スタンダードチャータード プライベートエクイティ投資部門、~ 16 年 カーライルグループ、~21年 CVC キャピタルパートナーズ 韓国事務所代表、21 年~ (株)ヨギオテ代表取締役、24年~ (株)ヨギオテジャパン代表取締役を兼任、現在に至る。