全日本ホテル連盟(以下、ANHA)は、ホテルメトロポリタンエドモント(東京・千代田区)において「令和6年度 定時総会 第50回」を2024年6月13日に開催した。同日時点で、正会員ホテル数は223社(準会員併せて1232社)。
2023年は観光業界にとってアフターコロナ元年であり、インバウンド数は2,5066万人と2019年の8割程度までに回復した。また政府の発信でも2030年にはインバウンド数6,000万人、消費額15兆円を目指すと表明しており、一層のインバウンド政策の促進が期待される。一方、宿泊業を含むサービス業でのカスタマーハラスメントが社会問題になっており、令和5年6月には「特定感染症」や「カスタマーハラスメント対策」として旅館業法が改正、昨年12月13日に施行された。この実施への働き掛けにANHAも一役を担っている。また本年明けに発生した、能登半島地震においては、観光庁からの協力要請を受け被災者対応のほか、各事業者に対して協会会員からの寄付金や人道支援を積極的に行なってきた。
ANHAの清水嗣能会長
清水嗣 能会長(ホテルリバージュアケボノ社長)によると、ANHAでは基本方針である「MVVS(ミッション・ビジョン・バリュー・ステイトメント)」に基づき、観光立国を目指す国、地方自治体との緊密な連携などを踏まえて、会員ホテルの企業価値の向上を支援してきたという。「2024ホテル経営者セミナー」や「ホテル産業フォーラムin九州」の開催、海外視察として観光先進国のタイへの研修など、令和6年上半期の活動を一例として報告した。また各委員会より、掲げている「国づくり」「会づくり」「人づくり」「街づくり」に伴う活動内容を報告したほか、昨年発足した「女性部会」(内山美樹部長:ホテル明治屋支配人)からは、リモートを中心に行なってきた活動内容を報告。賛助会員を含む全企業の女性スタッフが参画することを熱望した。
講演会では、立教大学観光研究所特任研究員の玉井和博氏が「新しい社会価値と宿泊産業の責務」をテーマに発言。人手不足に対しどのようなキャリアパスならば人材を確保できるのか、また施設としてサステナビリティに配慮がなければ顧客も雇用も確保できない時代であることなど、未来志向のアップデートが不可欠と言及した。
総会後の懇親会には、自民党国際局長代理の岩屋 毅氏、国際観光施設協会の鈴木裕会長らがさらに活性する観光業および同協会への期待値を述べたほか、東京都知事の小池百合子氏がVTRでコメントを寄せた。