エグゼクティブアドバイザーに就任した坂 茂氏(左)、ケン・チャン氏(右)。中央は㈱西武ホールディングス 代表取締役会長 会長執行役員兼CEOの後藤高志氏
㈱西武ホールディングスは、西武グループの不動産価値最大化に向けた取り組みとして不動産事業の体制を強化し、企業価値向上に注力する。それに伴い、2024年4月16日より、建築家の坂 茂氏、投資運用会社を経営するケン・チャン氏をエグゼクティブアドバイザーとして招聘。26日には今後の展開に関する記者会見をグランドプリンスホテル高輪で開催した。
中期経営計画によると、不動産事業をグループの成長戦略の核として企業価値の向上を実現すべく、同グループでは西武線沿線のアセットに加え、軽井沢や箱根、富良野などのリゾート地におけるホテル、ゴルフ場、スキー場および、山林や原野などの低・未利用地まで含めると全国で約1億㎡の土地を保有している。これらのアセット価値の最大化に際し、世界的建築家の坂 茂氏と投資運用会社を経営するケン・チャン氏がエグゼクティブアドバイザーに迎え、専門的かつ広範な知見の外部有識者を据えることで、より質の高い開発を実現していくという。
プリツカー建築賞受賞などの世界的な実績はもとより、被災地へのボランティア活動など、さまざまな社会的課題に建築が果たすべき役割を追求している点から坂 茂氏を招聘しており、単に施設の設計・デザインだけに留まらず、まちづくりという観点で取り組む術に期待しているという。また、シンガポール政府投資公社の日本法人の前代表として、各分野の不動産資産のコアポートフォリオをグローバルな視点で構築してきたのち、投資運用会社PCGの創業者兼CEOとして不動産開発に携わっているケン・チャン氏は、日本をはじめとしたグローバルなネットワークを有していることから、同グループの不動産戦略の先鋭化に欠かせないパートナーだとしている。
「軽井沢千ヶ滝地区プロジェクト」の共同開発に向けた基本協定書を締結
また同社と㈱西武リアルティソリューションズ(以下、両社を総称して西武グループ)は野村不動産㈱と「軽井沢千ヶ滝地区プロジェクト」の共同開発に向けた基本協定書を2024年4月25日付で締結している。
同プロジェクトでは、西武グループが長野県軽井沢町千ヶ滝地区の約22haの敷地を活用し、次世代のリゾートのあり方を見据えた大規模複合開発を行なう。千ヶ滝地区は、1919年に西武グループが千ヶ滝別荘の分譲を開始。かつてはスケートリンク・ホテル・温泉など多彩な機能が存在していた(現在は「軽井沢 千ヶ滝温泉」のみ営業)。同グループにおけるまちづくりの歴史と豊かな自然環境を踏まえた、これからの100年につながるエリア価値の向上に取り組むという。同プロジェクトにおいても、坂 茂氏の多彩な知見が生かされるほか、宿泊施設に限らない新たな地域開発に挑むとしている。
西武ホールディングスでは、軽井沢エリアのほか、箱根、富良野、川奈、日光、大磯においても地域と共に新たな価値を見出す再開発を検討していく。