大手ホテルチェーンで長年キャリアを積んできた久米氏は60歳を目前にマイステイズ・ホテル・マネジメントに転職。現在はビジネスマネジメント部長と「アートホテル成田」、「ホテルマイステイズプレミア成田」の総支配人を兼務している。転職の目的や入社してから感じたマイステイズ・ホテル・マネジメントの企業風土や特徴、自身のホテル運営の舵取りについて語る。
ビジネスマネジメント 部長
ホテルマイステイズプレミア成田 総支配人
アートホテル成田 総支配人
久米 剛 氏
■60歳を目前に転職、専門分野に精通した体制の強みを実感
久米 剛氏は業界歴約40年の生粋のホテルマンだ。大学卒業後は、ANA系列のホテル企業に就職。2006年に同社は、インターコンチネンタルホテルズグループとの資本提携でIHG・ANA・ホテルズグループジャパンとなり、久米氏は五つのシティホテルで総支配人を歴任した。そして2022年4月にマイステイズ・ホテル・マネジメントに転職した。
転職の理由はまず、破竹の勢いでチェーンを拡大する同社に興味があったこと。また、まもなく60歳を迎える年齢だったので、もうしばらくホテル第一線で働きたいとの思いから65歳定年の同社に注目した。入社後2カ月間は、本部のホテルオペレーションを管轄する部署で勤務し、さまざまなプロパティの運営方法を把握。6月からはテイクオーバーすることになったアートホテル成田の開業準備室に赴任。その後総支配人に、今年の4月からはホテルマイステイズプレミア成田も率いることとなった。
「マイステイズ・ホテル・マネジメントに入社し、専門分野は専門家に任せるという体制が構築されていることに驚きました。オーナー会社が購入して運営を任されるケースでは、当社の本部の中にテイクオーバーのプロセス全般を担う部署、リノベーションを専門に行なう部署がありますし、本部に建築士の資格を持つ人、販売促進、ウェブマーケティング、レベニューマネジメントなどの専門家がいてチームを作っています。彼らのサポートが受けられるので、現地はスムーズにオペレーションを進めることができます。これはほかのホテル企業では見られない優れた仕組みだと感じています」。
■個性を発揮できる企業風土の下、チーム作りに注力
マイステイズ・ホテル・マネジメントは、本部の専門家による手厚いバックアップに加え、会社側からの押しつけのない企業風土も特徴だ。責任者として指名されたら自身の方法論を実践できる。それは総支配人に対してだけでなく、中堅社員もしかり。前例踏襲ではなく、本人の適性を十分に発揮してもらうのが一番いい、まずはやらせてみて判断するというスタンスなのだ。こうしたさまざまな考えを受け入れるカルチャーは、M&Aやホテルのテイクオーバーを実施し、運営施設もビジネスホテルから始まり、シティホテル、温泉施設、リゾートと多岐にわたるジャンルに拡大していく過程で培われたのではないかと久米氏は話す。「各人の持つさまざまなノウハウを全部吸収して、マイステイズとしての新たなノウハウに資していこうという姿勢があると思います。私はほかのホテルで総支配人の経験はありますが、マイステイズ・ホテル・マネジメントではまったくの新人。それでも新たなホテルの責任者を任せてくれたことに会社の懐の深さが見えましたね」。
久米氏の運営スタイルの特徴は現場スタッフのチーム作りにある。
「よく気心の知れた者を連れてきてチームを作る人もいますけれども、私のポリシーは既存メンバーをメインにチームを作り、適性を見出してモチベーションを上げていくこと。それによって仕事がうまく回って良い結果も出る。そうした環境づくりが自分の仕事だと肝に銘じています。成田でもこの気持ちが分かち合えていると感じています」。
スタッフのモチベーションを上げるためにはできるだけ現場に赴く。ホテルマイステイズプレミア成田のスタッフ130名、アートホテル成田120名の顔と名前を一致させるための努力もした。総支配人の仕事の半分はオーナーとのリレーションだが、最終的にオーナーの要望を具現化するのは現場スタッフだ。オーナーの意向を噛み砕いて肌で感じてもられるよう現場に伝え、現場の考えや取り組みをオーナーにフィードバックすることで、最大の成果を得る。こうした橋渡しも最重要事項の一つと捉えているという。