左より、小山正彦代表取締役社長、5部門の各優勝者より香川蘭奈さん(新横浜プリンスホテル)、小牧若奈さん(ザ・プリンス京都宝ヶ池)、高 嘉芯さん(新横浜プリンスホテル)、冨野宏樹さん(グランドプリンスホテル高輪)、丸山 隼さん(軽井沢プリンスホテル)。㈱西武ホールディングス 代表取締役社長の後藤 高志氏
㈱西武・プリンスホテルズワールドワイドは、2022年10月5日にグランドプリンスホテル高輪にて「第 32 回プリンスホテル料理コンクール」を開催した。
今年のテーマは「サステナブルな環境に配慮したメニュー開発」。全国のホテル・ゴルフ場を対象に、「北海道」「東北・新潟・長野・群馬」「東京・都市圏」「湘南・箱根・伊豆」「西日本」の地区ごとの予選を勝ち抜いた5部門40名が本選に挑み、各部門のナンバーワンを選出した。選定には、社内審査員として㈱西武ホールディングス 代表取締役社長の後藤 高志氏、㈱西武・プリンスホテルズワールドワイドの代表取締役社長の小山正彦氏ほか、社外審査員としてSEIBU PRINCE CLUB 会員および調理師専門学校の先生を配した。
同社の小山正彦代表取締役社長は「コロナ禍で2年ぶりの開催となったが、第32回となった本コンテストが特に若手の育成、大きな経験として生かされていくことを改めて確信した。予選を勝ち抜いてきた各々は、先輩や同僚、ときに家族に支えられこの決戦に挑んでいる。本日ここに立っている40名とその周りを称えたい。また今回のテーマであるサステナブルな環境に配慮したメニュー開発を機に、各地の食材や調理法はもとより、食の提供者としての知識向上と気づきにつながったのではと思う」と、今後も継続していきたいと述べた。
優勝者の作品とコメントは以下の通り。
「椎茸の鱗を纏った鯛のカネロニ仕立て信州味噌の入った赤ワインソース」
<西洋料理部門>
軽井沢プリンスホテル/丸山 隼さん(コメント:長野県の名産である茸。その中から私の好きな椎茸をふんだんに使用し鱗仕立てにしました。鱗を作る際に出るサイドの椎茸はデュクセルに使用するなどSDGsのフードロス削減を意識して作りました。長野県産ワインと味噌を使った赤ワインソース、こちらも鯛の骨を無駄なく使用し鯛の風味をソースに移しました。付け合わせには長野県の野沢菜と鯛でおやきを作りました。コロナが落ちついて外国のお客さまなどに信州食材を楽しんでいただきたいと思い、和とフレンチを融合させました。食材やスパイスは健康にも意識を向け、山椒、生姜、ミョウガ、紫蘇、コリアンダーなど、体の内から健康作りができる一皿に仕上げました)
「勘八と秋野菜の酒粕胡桃和え 鯛の安倍川まぶしと鯛の鮟肝葱巻き煎り酒ジュレ」
<日本料理部門>
グランドプリンスホテル高輪/冨野 宏樹さん(コメント:小鉢には胡桃、TVや雑誌などで「食べる美容液」、または世界でも「日本のスーパーフード」と呼ばれている酒粕で日本の季節の食材を和えました。特に酒粕は年間1800トン廃棄されています。それを美味しく召し上がっていただく事でフードロス削減につながり、体にも良いところがSDGsに適した料理だと思います。鯛の安倍川と鯛のあん肝巻きでは、現在日本の国内自給率が問題視されている点から、日本の農 家や漁業を応援したいという気持ちと感謝の思いを込めて日本の主食である米に見立てたり、日本料理の中で古来から使われている煎り酒を使うなど調理法や調味料を取り入れ、健康も意識してメッセージを込めた作品に仕上げました)
「長野県安曇野産げんき豚のロースト あん肝入り巾着春巻きを添えて ~鎮江香醋と杏のソース~」
<中国料理部門>
新横浜プリンスホテル/高 嘉芯さん(コメント:真空状態の低温でじっくり芯まで火を通す事により、うまみを逃がさないように調理しました。ソースには、中国の三大黒酢の一つでコクのある鎮江香醋と杏を使っているのでさっぱりとしつつ杏のフルーティーな甘みがお肉とよく合います。春巻きの中には、メインのお肉を成型する際に出る端材を使用しているのでフードロス削減にもなっています。また、中にはあん肝を入れてこってりとした味わいを出したので、鎮江香醋のさっぱりしたソースにつけて召し上がっていただきたいです。外品は彩りを考えて、見た目も楽しんでいただける鮮やかな野菜やフルーツを使用しています)
「シャン・ド・フルール」
<製菓部門>
新横浜プリンスホテル/香川 蘭奈さん(コメント:イチゴがメインのデザートのため、全体的にピンクで可愛らしく仕上げました。花園をイメージしているため、甘い香りに誘われてやってきた蝶も再現し、目で見ても楽しく、食べるのもわくわくするようなデザートにしました。ピスタチオムースの中には口当たりの良いイチゴのブリュレ、花の蜜をイメージしたイチゴのソースが入っています。花園にいる気分でどうぞお召し上がりください)
「ローズニットバスケット(Rose knit basket)」
<製パン部門>
ザ・プリンス 京都宝ヶ池/小牧若奈さん(コメント:朝食に最適な柔らかくソフトなミルクパンに仕上げました。ミルク、苺、ココア、抹茶の4種の生地を仕込み、編みかごに見立てたココア生地で生地を編み、カットした断面はバラに見立てました。SDGsの取り組みとして、栄養豊富で美容や健康にも良いと言われている酒粕が年間に約1800トンも廃棄されているので、生地に練り込み少しでも廃棄率を減らせたらとの思いでこのパンを作りました)
【部門別テーマ食材】
西洋料理:水産エコラベル認証の養殖真鯛をメインとした付け合わせ2品以上使用した温製料理
日本料理:水産エコラベル認証の養殖真鯛・カンパチをメインとした先付2種(コース料理)
中国料理:資源循環型養豚をメインとした温製料理
製菓:GAP 認証のイチゴと酪農家応援のため加工したバターミルクパウダーを使用したイートインデザート
製パン:酪農家応援のため加工したバターミルクパウダーを使用した朝食パン
※本年は SDGs再生テーブルクロスを使用するなど、会場セッティングもSDGsに配慮した装飾を施した
第32回プリンスホテル料理コンクール、5部門40名が本選に挑んだ