――ホテルやレストランの空間美装とパーソナルライフの充実も
ここ数年、ワーケーションやステイケーションといったホテル滞在を目的とするニーズが高まり、よりゲストに寄り添うサービス・ハードが求められるようになっている。1924年の創業以来、いつの時代も「お客さまに喜んでいただける仕事をしよう」という思いで、さまざまなチャレンジを続けてきた藤田建装 近年は、内装業を中心とした事業の延長として、提供した空間に合う特注家具の製造も行なってきたが、今回新たなチャレンジとして家具単独の新事業「cazari」を立ち上げた。クライアントに寄り添いながら、オーダーによる家具製造を行なうという。
https://fujitakenso.jp/cazari/
ブランドコンセプトは「かざりむすび」
ヒトとヒト、世代、日本と世界が「cazari」を通じてつながり結ばれていくイメージから、ブランドコンセプトは「かざりむすび」とした。このブランド名は、同社が、商品台・ショーケースなどをオーダーメイドで製作する「藤田店飾専門店(ふじたみせかざりせんもんてん)」として東京・浅草で創業したことに由来する。戦後、曲げガラスを使ったオリジナルのショーケースが菓子業界で大ヒットし、東京の多く の菓子店に導入された。さらに、日本で先駆けてスーパーマーケットを展開したクライアントの店舗コーディネートがきっかけとなり、さまざまな業態の店舗設計・施工を手がけ、本格的な建築内装会社として歩んできた。
「cazari」では、これまで培ってきた技術を生かし、家具や内装素材で空間装飾を提案していく。フロント周りや、ラウンジなどパブリックスペースに合わせたオーダーが可能。スタイリッシュなオリジナルの家具を置くことで、非日常な 空間を作り上げることができる。
また、同社は地元浅草での活動も積極的に行ない、常に浅草と共に歴史を歩んできた。「cazari meets ASAKUSA」では、浅草のネームバリューを生かし、家具を通して伝統や文化を日本から世界へ発信していく。カウチソファーを例に挙げてみる。使われなくなった帯を再利用し、ソファーの一部にアクセントとして使用。側生地だけでなく、マットレスの厚さや硬さまでも相談することができる。帯に限らず ホテルやオーナーにゆかりのある素材があれば、再生させ、後世につなげていこうというSDGs 的な側面もあるが、宿やホテルのコンセプトを発信できるという利点もある。
さらに、「cazari meets PET FRIENDLY」として、ホテルに欠かせなくなった、ペット用アイテムの提案もある。安全・安心な素材や材料を使い、その空間、ペットに合わせた家具を作る。角は丸くして安全性を高め、洗濯や清掃のしやすさも考慮された設計だ。
「モノづくり集団」として新たな一歩
代表取締役社長 藤田一之氏は新ブランドへの思いをこのように語る。「創業の地である浅草周辺にはさまざまな伝統工芸の製造業が点在しています。自社商品ブランド「cazari(かざり)」を展開することで、商品を介して伝統・文化の魅力を継承できるのではないかと考えました。大量生産、既製品とは異なり、家具に関するすべてのお困りごとに対応できる「モノづくり集団」として新たな一歩を踏 み出し、新たな市場の開拓を目指します。
自社商品開発&販売を行なうことで、新たな販路を獲得。付加価値の高い製品のラインアップで、既存業務との相乗効果が期待できます。今後は地元企業とタイアップをすることで浅草の再活性も図りたい。そして、「cazari」に関しては、これまでのBtoB だけでなく、BtoC 向けの商品受注・製造も展開していきたいと考えています。この想いに共感いただけるすべての人たちが求める空間づくりのために、必要とされる家具を的確に、迅速に提供していきたい」
素材、デザイン、コンセプト、プロダクトを共有し、世界で一つのアイテムを一緒に作り上げる=作る過程もともに楽しめる。自社工場(日本・上海)で一貫して製造・加工することで、価格は良心的。さらには内装施工まで含めたプランで相談ができるのも藤田建装の強みだ。