シリーズでお届けしているTARO x HOTERES「ILTMカンヌ2021取材レポート」。前回の第一弾に続き、第二弾はTAROチームのCOOであり、メディア部門では編集長を務める金納ななえ(きんのう ななえ)のレポートをお届けします。
Hyatt Group Media Lunch@ Hôtel Martinez Penthouseにて
HOTERES(週刊ホテルレストラン)と弊社の国際業務を担うTARO事業部は、ILTM日本オフィシャルメディアとしてこの度『ILTMカンヌ2021』に初参加しました。HOTERES x TARO チームが日本を出発した直後、新型コロナウイルスの新たな変異種の出現と感染急拡大を受けて、フランスへの外国人観光客の入国が著しく制限され、仏国の安全衛生対策の強化により入国審査が一層厳格化されました。その結果、日本から渡航した参加者は弊社とJTB様を含む数社のみとなり、他の出展者の多くは現地スタッフを手配して出展になんとかこぎつけたというケースが多かったとのことです。(なお余談ですが、帰国後14日間の隔離期間中にこれを書きあげました!)。こうして私共が”体を張って(笑)取材した”数々のストーリーの一部をご紹介したいと思います。これが皆様にとって何かしらインスピレーションの源になれば幸いです。
HOTERESとTARO取材チーム、ILTMオープニングイベントにて
20周年を迎えたILTM 2021
ILTMカンヌ2021で私が得た3つのキーワードは「Sustainability」、「Wellness」そして「Mindfulness」
今回のILTMカンヌ2021で私が得たキーワードは 「Sustainability」(サスティナビリティ)「Wellness」(健康の維持向上を目指すウェルネス)そして「Mindfulness」(あるがまま受け入れる心と精神を育むマインドフルネス)の3つと言っても過言ではないほど、会期中はこれらの言葉が飛び交っていました。
パンデミック以降の2年間、我々人類にとって考えさせられたのは「家族」と「健康の大切さ」という2つのキーワードではないでしょうか。「家族と共に、安全で健康に過ごせる空間」= 「Open Air(野外・屋外)の醍醐味を味わえて、スピリチュアルでプライバシー性の高い旅行プラン」など新しい旅の形を模索する人々がこのパンデミック中に多く出現したとも言われています。また、家族や親しい友人などと共にリラックスした時間を過ごしながら「Wellness(健康面)」の向上を目的とした長期滞在にウェイトを置いた旅を強く求めていることがわかり、その為にプライベートヴィラやレジデンスタイプの宿泊施設の需要が高まっているようです。
さらに、パンデミック中は、人々の自然や環境への探求心も一層高まり、これによってレアでユニークなデスティネーションで過ごす環境に優しいプライベートヴィラや、最先端の海洋テクノロジーと環境保全技術を搭載したレジデンスクルーズラインやアドベンチャークルーズの需要増加も見られました。このトレンドはポストパンデミック(パンデミック後)も引き続き継続していくようです。
毎年開催されているILTMの見どころの一つに、VIPメディア向けに開催されるホテルブランドによる報告会があります。ブレックファーストからカクテルパーティまで、趣向を凝らした様々なプレスイベントが開催され、その演出手法からも多くの学びがありました!
HiltonラグジュアリーブランドのMedia Breakfast, Port of Cannesにて
また、Media Centerで行われるNews Briefingsでは、各ホテルブランドより新プロジェクトに関する情報そしてSDGsにおける独自の取り組みについてプレゼンテーションが繰り広げられました。ここで改めて気づかされた事は、SDGsはもはやoption(選択)ではなく、ラグジュアリートラベル業界にとって不可欠なbackbone (基幹)としてみなされているということ。その一方で、ラグジュアリー消費者側の傾向として「サスティナビリティへの取り組み」という要素はホテルやデスティネーションを選択をする上で重要な決め手となっているとのことです。ひと昔前の大学の卒論のテーマとして取り上げた「エコ・ツーリズム」を研究して以来、個人的にもこの分野をサポートしてきた私にとっても正に喜ばしい時代の到来です!
ホスピタリティ業界におけるSDGsとESGへの取り組みや貢献は、今や企業評価の尺度としても注目されており、既に指標化・格付化が進んでいます。そして、こういった環境及び社会の持続可能性と経済の持続的な成長に貢献する企業に積極的な投資が行われ、投下された資金を流通させて持続可能な社会づくりにつなげようとする「サステナブルファイナンス」の活動は今後さらに浸透して行くと思われます。