コロナ禍の出張減で問われる宿泊主体型ホテルの活路
----コロナ禍でも、いくつかのオペレーターチェンジ案件を展開していますが、直近の業績とあわせて状況を教えてください。
コロナの影響を最も受けた 2020年 7月1日.21年 6月30日の業績は、売上高 157億 1100万円・前期比 31.4%減。その主な内訳は、コンフォートブランドを展開するチョイスホテルズ事業が 117億2600万円(前期比 68.0%)、グリーンズホテルズ事業が 38億 800万円(前期比 69.4%)と、当然ながら芳しくない結果です。このような状況下ではありますが、2020年 7月以降、21年 6月末までに 9軒のホテルを新規開業しました。うち、ホテルメリケンポート神戸元町、コンフォートイン東京六本木、コンフォートイン京都四条烏丸、コンフォートイン福岡天神の 4軒は、「オペレーターチェンジ」案件です。
コロナ禍により、こうした案件が増えており、7月5日に開業した「コンフォートイン那覇泊港」(沖縄県)も同様です。現状はとても好調とは言えない状況ではありますが、当社としてはコロナ禍の落ち着きと共に、徐々に観光や経済は回復すると考えていますので、それぞれの案件についてさまざまな角度から慎重に検討を重ね、お引き受けさせていただくことにしました。
また、直近の「コンフォートイン」4店舗の開業に際しては、各施設のポテンシャルを見極め、地域特性に合わせた満足度の高いサービスの提供を目指しています。例えば「コンフォートイン福岡天神」の朝食は「コメダ珈琲店」が提供しますが、宿泊者限定の“選べる 6種類のオリジナルセットメニュー”(有料)をご用意しています。また「コンフォートイン京都四条烏丸」は、同ブランド初の大浴場を併設したホテルで、朝食は“京のおばんざい”を取りそろえたブッフェメニュー(有料)を提供しています。
----出張制限やテレワークなど変容したビジネススタイルによって宿泊主体型は特に難しい状況です。このカテゴリーについてどのように見ていますか。
現地に赴く対面でのビジネス需要はなくならないと考えています。コロナ禍でwebを介したビジネスは拡大していますが、一方でまたオフィスの縮小や拠点の集約化なども進んでいることからも、全国の中核都市における宿泊施設は、必要なサービスであり続けると考えています。とは言え、中長期的には、日本は生産年齢人口が緩やかに減少していきますので、ビジネス利用を中心に成長を続けてきた当社にとって、新たな活路を見出していくことはコロナ禍以前からの命題です。
今後の宿泊需要は、ゆるやかにレジャー需要の割合が増加してくると想定しており、2018年 3月に新浦安に開業した全室ツインルームの「コンフォートスイーツ東京ベイ」や、2021年10月に開業した「コンフォートホテル名古屋金山」におけるトリプルルーム、コネクティングルームの導入は、このレジャー需要の増加に対する施策の一つです。
東京五輪・パラリンピックも終わり、ホテルの新規開発案件はいったん落ち着いている状況ですが、既存ホテルについてのオペレーターチェンジ案件はまだまだ出てくると見ています。条件はさまざまですがコロナ禍以前に比べ、好立地、築浅など良い条件のものが増えていると感じています。引き続き案件を厳選しつつ、大きなコストをかけず短期間での出店が可能なオペレーターチェンジ案件に注力していくつもりです。