----そうなれば以前の水準に戻るまでに具体的にどうする必要があるとお考えでしょうか。
日本人の海外旅行であるアウトバウンドが以前の活況を呈するまで、国内のホテル経営は国内市場に依存せざるを得ません。あれほど海外に出かけていた日本人が気軽に海外に行けない状況がしばらくは続くので、海外旅行に代わる魅力を打ち出す国内旅行が求められます。
首都圏などの旅行者を獲得すべく、国内観光地間の競争激化が見込まれます。北海道の視点から見れば、これまで以上に海外旅行に代わる魅力を打ち出す観光政策を推進した上で、国内客の 8割以上を占める首都圏など三大都市圏に向けたプロモーションの重要度が増してきます。
ホテル業界では、これからのおそらく約 5.7年はマーケットの動きを的確に捉え先手必勝で有効な戦略を打ち出すことが従来以上に求められ、経営手腕次第で勝ち組と負け組がはっきり分かれる厳しい時代になり、経営の力量が問われるやり甲斐のある時代が目の前に迫っているのです。
----しばらくは厳しい状況が続くということですね。ところで札幌国際大学で客員教授をつとめられていますね、どのような経緯で就任されたのですか。
5年ほど前、大学の理事長から直接要請がありました。オークラ本社に伝えたところ、名誉なことなのでお受けするよう指示があり、就任し現在に至っていま
す。
自分がこれまでに得た何かをこれから社会に巣立っていく若者達に語り伝えることができれば、との思いがあり就任したのですが、実際には学生達に教えるというより、彼らから学ぶことの方が多いのが実態ですよ(笑)。ホテル閉館後も客員教授は続けさせていただくことになっています。気が付けば年齢はもう70歳を過ぎており、東京の自宅を守る家内にはそろそろ帰って来て、と言われています。札幌は暮らしやすく、ビジネス面でも本当にいい街です。帰るには惜しいのですが、時期が来ればそうは言っておられないでしょう。
----長い間、ありがとうございました。
2021年10月15日号 トップインタビュー (株)ホテルオークラ札幌 代表取締役社長兼総支配人 宮崎誠 氏
トップインタビュー (株)ホテルオークラ札幌 代表取締役社長兼総支配人 宮崎誠 氏
【月刊HOTERES 2021年10月号】
2021年10月14日(木)