----コロナ前の数年、年間の稼働率が95%前後と札幌市内でも例外的に高い実績でした。どのような販売方法でこれを実現したのですか?
私が赴任した 3カ月後の 9月にホテルオークラは当時再建中であった日本航空から JALホテルズの株式の 79.6%を取得し子会社化しました。これにより、オークラグループのホテル数は一気に 3倍になり各ホテルに根付いた顧客の数も急増しました。グループホテル数 26が一気に3倍の 73となったのですから、「これは凄いことになった」と痛感し、販売戦略を根底から見直しました。
基本としては、グループ全体が有する顧客を取り込む方向性を打ち出し、その後 2013年にオークラクラブとマイJALホテルというオークラと日航ブランドで別々であった顧客組織をOne Harmonyとして統合した機会を捉え、会員組織を活用し安定した顧客基盤の形成に狙いを定めました。
----会員組織をうまく活用したということですか。
会員を大切にして良質なリピート顧客に育てる戦術が功を奏し、2年後には宿泊者に占める One Harmony会員の比率は 40%以上に達し、オークラ・ニッコーの全 74ホテル(当時)でトップになりました。
----コロナ禍で観光産業が窮地に陥りホテルの稼働が大きく落ち込んだ 2020年度ですが、札幌市内の平均稼働が23%であったのに対し、オークラは 55%と例外的に高かったのですか。
コロナ禍で旅行者が激減した中で、われわれも驚くようなことが起こりました。One Harmony会員の宿泊がコロナ前と比べ減らないのです。それどころか、会員の中で最も利用回数の多い上級会員であるExclusive会員は前年比 121%に増えたのです。全体でも2020年度年間で前年比 82%の実績があり、従来から宿泊者の 40%上以上を占める会員の宿泊がコロナでも減らないという根強い需要に支えられ、札幌市内でも、またオークラホテルズ&リゾーツの中でも例外的な高稼働となりました。
----リピート率の高い会員を戦略的に囲い込んだ訳ですね。
ホテルオークラ札幌に宿泊される会員の大多数は、企業の役員・幹部クラスのビジネスマンの方々で、コロナ禍であろうとも出張などの移動を継続し第一線で活躍されている、という事実が立証されたと思います。One Harmonyを駆使すれば、一歩先を行く業績につながる可能性があることは間違いないと思います。
2021年10月15日号 トップインタビュー (株)ホテルオークラ札幌 代表取締役社長兼総支配人 宮崎誠 氏
トップインタビュー (株)ホテルオークラ札幌 代表取締役社長兼総支配人 宮崎誠 氏
【月刊HOTERES 2021年10月号】
2021年10月14日(木)