佐藤 私の元に投資案件として持ち込まれる案件の多くは固定家賃の賃貸案件です。ただし賃貸借では、ホテルの調子がいいときは運営会社もしっかり家賃を支払ってくれるのですが、調子が悪くなってくると「家賃を下げてほしい」と要求されるという話をよく聞きます。そのような状況のときに自社運営のノウハウがなければ、「自分たちで運営するので、家賃が払えないのであれば出ていってください」とは言えないわけです。
勿論、本件以前に投資してきた施設のように実績がある運営者がいればそのまま任せますが、本件のような抜本的再生案件の場合には直営にして、運営リスクを取った方が機動的で良いと考えました。改装の際にも、自分たちが必要と思う部分について自由に着手できるメリットもあります。
山下 私はこれまで多くのホテルや旅館、テーマパークの開業に携わった後、旅館再生の案件を手掛けてきました。システム投資や優秀な人材が揃っている業界最先端のホテルやテーマパークでの経験を元に、旧来的な施設に 1人で行って勝負することに魅力を感じています。今回は以前に同じ案件にオーナーサイドで仕事をしていた前山に声を掛けてもらいましたので、二つ返事で「ぜひやらせてください」とお引受けしました。
これまでさまざまなオーナー(所有・経営者)と仕事をしてきましたけれども、プロジェクトが始まる前に「現場に任せます」とおっしゃっていても、いざスタートした途端に「それは難しい」と姿勢が変わってしまうことが多いと感じてきました。佐藤も前山も以前に関わった仕事でまったくそういったことがなかったので、今回も安心して仕事をさせてもらっています。
佐藤 私にはホテルや旅館に関する知識も経験もありませんから、自分が出しゃばっても間違えるに決まっています。それならば、経験豊富なメンバーに任せた方が上手くいくと確信しています。
山下 イル・アズーリでは、顧客満足度と収益の 2軸のバランスが取れる形で運営していけるスキームを構築できると考えています。
イル・アズーリ
総支配人
山下圭三 氏
ヒルトンホテル、ウェスティンホテル、ユー・エス・ジェイ、星野リゾート、などでホテル旅館の再建、新規開業などを経験。元星野リゾート青森屋及び同奥入瀬渓流ホテル総支配人。