

開催にあたってのHRS日本法人の代表取締役社長 三島健氏によるあいさつ、会場である大阪マリオット都ホテルの鳥居正彦総支配人のあいさつの後は、基調講演としてNPO法人 JAPAN NOW 観光情報協会 理事の北村嵩氏による「BTM/BTSの現状と課題」として、BTMの誕生から浸透までの背景や、BTSからBTMへの変遷、そしてホテルがビジネストラベル市場にどのように訴求をしていくべきかを解説。
NPO法人 JAPAN NOW 観光情報協会 理事の北村嵩氏
続いて、クラウドイット㈱ 代表取締役社長の板倉康和氏による「OTAの幅広い活用方法~ビジネストラベルの取り込み方」として、多数のホテルがレジャーインバウンドに多くを依存する現状の中で、中長期的なビジョンとして現在の市場環境が変化した際のビジネス市場の取り込みなどリスクマネジメントは必須であると説明。また、ホテル客室営業の特性として部屋の在庫を常に市場に知らせなくてはならないという状況の中、日本企業よりも進化している海外企業のBTMシステムはオンライン化されており、HRSに参加することによって低コストでその市場にアプローチできると解説した。
クラウドイット㈱ 代表取締役社長 板倉康和氏
最終セミナーはHRSの上級副社長 ルーカシュ・ダブロスキー氏による「グローバルのBTM事情と、日本におけるポテンシャル」。同氏は日本のビジネストラベルマーケットはアメリカ、中国に次ぐ世界で三番目の市場規模であり、また成長の著しいアジア市場はHRSにとって重要な市場であると説明。
また、1000社以上のグローバル企業を含む4万社の企業顧客から信頼を得ているHRSを有効活用することで得られるメリットとして、
*新しい顧客層が獲得できる点=顧客層の多様化と最適化
*異なる地域からの顧客獲得ができる点=リスク分散
*長期にわたるリピート客が獲得できる点
*ビジネス市場はパターンが予想可能であり、長期にわたり一定かつ安定的である点
(同時にキャンセルやノーショーも少ない)
*レジャー顧客と比較して長期かつ付帯支出等も多い点
*MICE顧客へのアプローチ
(同氏の説明によると、世界平均で3泊に1泊はMICE関連予約という)
*ビジネス客は気に入ればリピートする上得意客であると同時に、
プライベートでもレジャー客になる可能性がある点
*トランザクションのビジネスモデルのため、無料で世界各国への
露出が可能となるマーケティング効果
などがあると説明した。
HRS上級副社長 ルーカシュ・ダブロスキー氏
HRSの日本での事業展開は、事業を開始した2014年5月以来まだ1年5か月程度であるが、パートナーホテルにはチェーンホテルを中心にビジネス需要の獲得を狙うホテルたちが続々と加盟をしているという。
ここからは、ホテル関係者たちがこれまで急激な好不況の変化を経験してきたからこその、足下の好況に安住をしない慎重かつ積極的な姿勢が見てとれる。
目下好調でありながらも中長期的には中国経済の影響や2020年の東京五輪後の不透明な市場など不安要素もある中、ビジネストラベル市場は確実に押さえるべき市場であり、今後日本国内でもさらなる拡大が見込めるであろう。(取材・岩本 大輝)