ドレスデンを代表するランドマークであるツヴィンガー宮殿がホテルの隣に位置する。そして荘厳たるオペラ座のゼンパー・オーパーが斜め前に、ドレスデン王宮がホテルの真正面に建つという立地に驚かれるであろう。しかもホテルの建物自体も、国王が伯爵夫人の為に建てた宮殿を、後に再建したものだと聞けば尚更の事である。ホテルの名は “タッシェンベルクパレ” 「Hotel Taschenbergpalais」、“タッシェンベルクの宮殿” という意味だ。国王フリードリッヒ・アウグスト、通称 “アウグスト強王” がアンナ・コンスタンティア伯爵夫人、後のコーゼル伯爵夫人の宮殿として、1708年にドレスデンの中心地タッシェンベルク「Taschenberg」に建設したものである。
タッシェンベルクパレは前述した様に、ドレスデンを代表する男性的な存在感を誇る歴史的建造物群の区域内にある。その中で、伯爵夫人の宮殿という女性的な雰囲気を持つ佇まいは、ホテルの華麗な装いを一層際立つ存在に高めている。現在はケンピンスキーホテル・グループの旗艦ホテルの一つとして高い評価を受け、その繊細なバロックからロココ様式に至るホテル建物はドレスデン観光の一翼を担っている。
著者プロフィール
ホテルジャーナリスト
慶応義塾大学法学部法律学科卒。74年Munich Re 入社。85 年築地原健㈱代表取締役。2001 年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタン
ト協会理事。
www.jhrca.com/worldhotel
現在、筆者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。