三井不動産グループの伊勢志摩リゾートマネジメント(株)は、三重県の志摩半島において「鳥羽国際ホテル」「NEMU RESORT」を運営している。いずれも開業から50年以上、地元の人々に愛されるリゾート施設としてその歴史を刻んできた。伊勢神宮との関係も深く、日本の皇族や海外の国賓にも利用され、2016年のG7伊勢志摩サミットの際には米国のメディアや外交官の貸し切り施設として大役を果たした。半世紀超の歴史、伊勢志摩の地域の力、そして三井不動産グループとしての強みという3つの要素を掛け合わせながら成長を続ける伊勢志摩リゾートマネジメントの歩みについて、2019年1月、代表取締役社長に就任した雀部優氏に話を聞いた。
Profile
雀部 優
(Masaru Sasabe)
1985年三井不動産(株)入社。2011年より、ホテル・リゾート本部リゾート事業部長として、「AMANEMU」や「ハレクラニ沖縄」等、ラグジュアリーリゾートの開発を推進。環境省、観光庁の各協議会委員を歴任。19年1月より伊勢志摩リゾートマネジメント(株)へ出向、代表取締役に就任。なお、同社は「鳥羽国際ホテル」「NEMU RESORT」などを運営する三井不動産100%出資会社。
国内外のセレブが幾度となく訪れた
格式の高い憧れのホテルとして歴史を紡ぐ
---三井不動産のグループ会社である伊勢志摩リゾートマネジメントの事業内容について教えてください。
2007年に三井不動産グループはヤマハリゾートより、「鳥羽国際ホテル」と「合歓の郷」を取得しました。2017年2月にこれら2施設の運営会社を合併することで設立されたのが、伊勢志摩リゾートマネジメントです。
取得当初は鳥羽国際ホテルも合歓の郷もともに赤字でしたが、三井不動産がさまざまなリノベーションに投資をしたこと、現場スタッフがそれを意気に感じて頑張ってくれたことでホスピタリティーレベ ルと顧客評価の大幅な向上につながりました。おかげさまで赤字から脱却し、現在まで順調に利益成長を続けています。
回復につながる一つの大きな契機となったのは、2013年に行なわれた伊勢神宮の式年遷宮だったと思います。20年に一度の大イベントということもあり、約1400万人の参拝客が訪れました。鳥羽国際ホテルも合歓の郷もその恩恵を被り、業績を大きく伸ばすことができたのです。黒字化はその数年前から既に達成していたものの、より大きな業績向上につながるターニングポイントになったことは確かでしょう。