「ストレスチェック」実施イメージ
国が掲げる、健康長寿と
企業の健全経営の推進がリンク
厚生労働省によると、職場環境におけるメンタルヘルスの問題を国で取り組み始めたのが1988 年。いわゆる昭和最後のバブル期と重なる。寝る間も惜しんで働く人の増加と同時に、過労死が社会的問題になりつつあったころだ。バブル崩壊後、90 年代の就職氷河期を経て、IT バブルがわき出した2000 年には、国の指針により、心身の健康を促進する取り組みとして企業の管理者に対する教育や相談窓口の開設を促してきたという。ところが、年間約2 万5000 人の自殺者数のうち勤務問題による人数が2000 人強という事態を鑑み、未然に防ぐ対策を各事業所で行なうための仕組みとして、従業員に対するストレスチェック制度の義務化に至ったという。
この度取り上げた「労働安全衛生法」だけでなく、近年日本では、企業の職場環境の改善や従業員の心身の健康を促進する動きが出ている。
小誌2015 年6 月29 日号(P8「健康がKeyword」)でも既報しているが、今春より経済産業省と東京証券取引所が共同で「健康経営銘柄」として、22 社の企業を公表している。企業が従業員の健康管理を経営的な視点でとらえることが、結果的に業績や株価の向上につながるという考えに基づく。選定された22 社の取り組みはさまざまで、その中の数社が“メンタルヘルス対策”への強化を明示している。
近年、人口減による雇用者獲得問題に直面している企業は多く、ことに学生アルバイトで成り立っていたサービス業はそのあおりを大きく受けている。さらに社会的な問題として、従業員のメンタルケアを職場で管理することが、医療費の適正化や国民のQuality Of Life の推進、事業者の健全化につながるとして厚生労働省だけでなく、経済産業省も別の視点から提唱しはじめた。従業員が快適に働ける環境を考えながら生産性を向上させていくことが、今後の日本の企業に求められている。そこで、今回はこれからの労働安全衛生について識者の意見をまとめた。
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