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第1回 C&RM ㈱ 小林 武嗣  新連載 供給過多時代を生き抜くためのレベニューマネジメント 

第1回  限界に達した高需要時の成功体験に 基づくレベニューマネジメント

【月刊HOTERES 2019年05月号】
2019年05月17日(金)
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本誌独自調査によると2022 年までに700 軒のホテル開業計画が確認されており、約10 万室が供給される見込みだ。インバウンド増を追い風にした市場拡大にともない、これからホテルマーケットはかつてない供給過多時代という未知の世界に踏み出そうとしている。
本連載では、眼の前に迫る新時代に求められるレベニューマネジメントについて考察していく。

小林 武嗣( こばやし・たけし)
C&RM ㈱ 代表取締役社長

1968 年生まれ。東海大学文学部日本史学科卒業後、NEC ソフトに入社。大型汎用機を主体としたシティホテル向けPMS に携わる。96 年、NEC ソフト退社。現株式会社サイグナスを起業し、代表取締役に就任。2 年ほど製造業を主体とした開発に従事するが、97 年NEC と共同でNEHOPS-EEの開発を請け負い、日本初のパソコンシステムによる大型シティホテルの成功事例を作る。その後、NEHOPS-EE の開発センターとして全国のシティホテルに導入。2002 年、マイクロス・フィデリオジャパンとの協業を開始し、日本初のCRM システムをリリース。04 年、NEC ソフト時代の元上司の丸山に代表取締役を譲り、副社長に就任。その後、一貫してホテル業に対するCRM の普及をめざし活動。12 年には、CRM とRM の融合の実現を念頭にC&RM 株式会社を設立。
http://c-and-rm.com/

 
好調だった京都のホテル
マーケットに異変

 
活況を呈していた京都のホテルマーケットが2018 年後半から激変しています。
宿泊料金を見るとそれまでの高単価販売が影を潜め、特に宿泊特化型ホテルにおいては、平日に税抜き2980 円を下回る価格がインターネットに出ている状況です。
高需要期には宿泊特化型ホテルでも2 万円台後半で販売していたにもかかわらずです。
一体何が起きているのでしょうか。さらには、このときにレベニューマネジメントはどうしたのでしょうか。
 
京都のホテルマーケットの異変は、次の要因によるものと考察できます。
 
 
■宿泊客数の減少 

訪日外国人数は増加しましたが、日本人客数は減少してしまいました。これは京都のホテルの宿泊料金が高いこと、京都の敷居が高いなどの要因もあったかと思います。現在の京都のホテルマーケットにおけるインバウンド客比率は約15%で日本人客が約85%と言われていますから、インバウンド客が多少増えても日本人客が減少してしまうと宿泊客数全体では縮小してしまうのです。日本人客数が維持されたまま、インバウンド客数が増加したのであれば宿泊客数は増えますが、大きなパイを持つ日本人客数が減少すると市況は厳しくなってしまうのです。
 
■宿泊施設の増加
 
数年前までは「京都にホテルを建てればもうかって当たり前」という状況が続いていました。
それを聞きつけた投資家や不動産会社が次々とホテル建設に着手したのです。
その際に選ばれたのが建設費、運営コストが安価に済む宿泊特化型ホテルだったのです。
 
ですから京都のホテルマーケットの厳しさは宿泊特化型ホテルを直撃し、むしろハイクラスのホテルでは影響が少ないのです。
東京や大阪に比べ京都にハイクラスのホテルが少ないことが、インバウンドの富裕層を宿泊特化型ホテルへ流入させるという現象につながっていたのです。

これこそが、京都の宿泊特化型ホテルがインバウンド富裕層を高単価で獲得できていた理由なのです。
そういう意味では京都の異変は「何の変哲もない」宿泊特化型ホテルに起きていると言えるでしょう。
 

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