東武グループは、「東武グループ中期経営計画2017 〜2020」により、2020 年春から夏にかけて「ザ・リッツ・カールトン日光」「AC ホテル・バイ・マリオット東京銀座」「(仮称)東武ホテル川越駅西口駅前」「(仮称)浅草東武ホテル」「(仮称)和光市南口駅ビル東武ホテル」の5 ホテルを開業する計画を進めている。
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020 年を目前に控えた今、急伸するインバウンド需要を背景に2020 年以降のホテル市場の動向を慎重に見据えながら、さらなる成長に向けた布石を打っていく構えだ。
オペレーションを手掛けるホテル数、客室数が拡大する中、東武ホテルマネジメントは発展のビジョンをどのように描いているのだろうか。代表取締役社長の重田敦史氏にその方向性についてインタビューした。
Profile
重田敦史 氏
(Atsushi Shigeta)
1957 年生まれ。千葉県出身。79 年慶應義塾大学商学部卒業後、㈱富士銀行入行。㈱みずほコーポレート銀行常務執行役員、㈱東武百貨店代表取締役社長を経て、2015 年6 月㈱東武ホテルマネジメント代表取締役社長に就任。現在に至る。
㈱東武ホテルマネジメント
〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-2 TEL:03-3626-0301 ㈹ URL:https://www.tobuhotel.co.jp/
右肩上がりの市場環境が変化しても
耐えうる体制をつくり長期的な成長を目指す
❒ 外資系ホテルチェーンと手を組んで展開するAC ホテル・バイ・マリオット東京銀座を含め、東武ホテルマネジメントは開業ラッシュが続きます。プロジェクトの経緯を教えてください。
東武グループのホテルは現在15 ホテル・約2500 室で展開していますが、今後1 年半で20 ホテル・約3500 室まで拡大します。
現在、最も新しいホテルは1997 年に開業した東京・錦糸町の東武ホテルレバント東京ですが、22 年前にこのホテルをつくって以来、既存ホテルの充実に専念しており、ホテルの新設には至りませんでした。
2015 年に私が東武ホテルマネジメントに入社してから「急伸するインバウンド需要を取り込むべく、新しいホテルを開業しよう」という話になり、そこから準備を始めて五つのホテルの開業が東京オリンピック・パラリンピックの開催にぎりぎり間に合うタイミングになったというのが実状です。
ホテルの新設にあたっては、東武グループとして真に必要な場所に開業するという堅実な考え方をとっています。
東武グループに限らず、他社とも手を組みながらプロジェクトを進めてきたのですが、その場合もお互いにWin-Win の関係を結べることが大前提となっています。
ホテル業界はインバウンド伸長の恩恵に浴することで今は右肩上がりで来ていますが、基本的にはリスクファクターの多いフラジャイルな業界だと思っています。
今後、何らかの要因でインバウンドに陰りがでたとしても「東武グループのホテルは大丈夫」と言い切れる体制をつくっておく必要があると考えています。
こうした手堅い計画ではありながらも、15 ホテルを20 ホテルにして客室数を約1000 室増やすというのはなかなか大変なことです。
ザ・リッツ・カールトン日光を除いた4 ホテルは東武ホテルマネジメントが運営しますので、これまで私たちがオペレーションしてきた7 ホテルに4 ホテルが加わることになります。
11 ホテルの運営は大変なことで、この数年間は人材確保にも注力してきました。