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ホテルジャーナリスト 小原康裕氏× ㈱オータパブリケイションズ 太田 進 

その国、その都市の 歴史や芸術・文化に根ざした 本物の一流ホテルには嘘がない

【月刊HOTERES 2015年07月号】
2015年07月23日(木)
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世界のリーディングホテル 連載100 回記念
SPECIAL INTERVIEW
 
「WORLD’S LEADING HOTELS 世界のリーディングホテル」が、今号の「HOTERES」で連載100 回目を迎えたホテルジャーナリストの小原康裕氏。世界のホテルピラミッドの頂点に位置づけられるホテルだけを紹介し続ける姿勢を貫くことで、日本のホテルマンたちにとって有益な情報を豊富に伝えてきた。スモール&ラグジュアリーなリゾートホテルとして展開する長崎・大島のオリーブベイホテルを舞台に、小原氏とオータパブリケイションズの太田進が一流のリゾートホテルに求められる要件についてディスカッションする。
構成 長谷川耕平/文 高澤豊希/撮影 ジャンニ ヒラガ
取材協力 オリーブベイホテル
 
   何から何まで余裕を感じさせてくれる
   オリーブベイホテルはリゾートの王道
 
太田 オリーブベイホテルの印象はいかがですか。
 
小原 建物は一見簡素なのですが、実は考えつくされた建築デザインになっていることがよく分かります。大島造船所のホテルということもあり、船のような美しい曲線が印象的で、隈研吾氏の設計理念が随所に表われていると感じました。素晴らしい建物の中で、総支配人の諏訪健一氏の人柄が隅々まで表現されているホテルですね。
 
 リゾートホテルはビジネスとしてレベニューマネージメントを考えるのと同時に、夢を売らなければなりません。車の両輪のように、ビジネスと夢がうまく響き合わなければならないのです。オリーブベイホテルは大島造船所のクライアントに向けた迎賓館としての役割も担っていることから、夢を感じさせる要素がぜいたくに盛り込まれています。GA|インテリアデザインが担当した客室空間も、バスタブなども含めて非常にクオリティーが高いと思います。
 
 レベニューだけを考えていては、この雰囲気を出すことはできません。こうしたホテルの在り方は日本では珍しいと思います。数字にとらわれ過ぎず、お客さまの喜ぶ顔を重視する。オリーブベイホテルのような夢を売るホテルが、日本のマーケットにもっと出てきてほしいと思います。
 
太田 バーやレストランについてはいかがですか。
 
小原 お酒の種類が豊富で、バーテンダーのホスピタリティーも素晴らしい。どのように接すればお客さまに喜んでいただけるのかを考え抜き、そこから導き出された答えが満ち満ちています。
 
 堀木エリ子さんの手による和紙を使った空間デザインは、やわらかい落ち着きをもたらしてくれます。旅の楽しさを感じることができますし、これから眠りに就く前のひとときを誘ってくれる。そんなバー空間になっています。
 
 レストランの料理も、非常にレベルの高いものでした。日本でエスカルゴを提供するのであれば、地サザエという素材を使うとお客さまは喜ぶと私はよく提案するのですが、今回はまさに地サザエのエスカルゴが最初に出てきました。オードブルからメインまで、今の料理のトレンドをよく理解した感覚が伝わってくるコース料理です。レストランは一面ガラス貼りで、プールサイドと庭に面したエレガントな風景を映してくれます。シェフズテーブルの雰囲気も見事でした。
 
 オリーブベイホテルは、何から何まで余裕を感じさせるホテルであり、王道を行くホテルと言えるでしょう。旅慣れた方々がメインのお客さまであり、スタッフには彼らに対応できるだけの高い能力が求められます。世界中から船を発注するオーナーたちが集まってくるわけですから、それ相応のキャリアやスキルを持つ人たちがスタッフを務めるべきで、そのための体制を構築していることは滞在することで十分理解できました。

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