上段4 枚はマーク・グリーンウェイ氏のコース料理から。それぞれにコンセプトがある独創的な品々も原点はスコットランド料理だ
欧州屈指の海産物の産地として、その産出量はもとより環境保全についても漁業に関連するあらゆる事業者が持つ高い自覚がスコットランドの特徴だ。自然環境と種の保存、持続可能な開発をテーマとする中でも楽しみ、親しみを忘れない。おいしく楽しく、美しい。それがスコットランドだ。
マーク・グリーンウェイ氏
鮮度や品質の原点は、
持続可能な開発にある
Denholm Seafoods Limited はピーターヘッドを拠点に漁と一次加工をする、この国でも数少ない専門事業者。4 隻の漁船を所有し、サバを中心にニシン、アジ、ブルーホワイティング(プタスダラ)を取り扱う。この国にも四つしかないサバの加工場は、ここのほかにシェットランドとピーターヘッドに3 軒あるだけだ。加工場では、急速冷凍して保管したサバを10℃の水とマイナス1℃の冷蔵庫を駆使して100 分以上をかけてじっくりと解凍し、その後は手際よ
くさばく光景を見た。
30 年以上前、現地ではタラの消費が主で、サバは食されなかった。そして現在、90% はスモークマカレルとして食べられるほか、サラダやパテにして消費されている。英国の北海、澄んだ水で育ったサバには寄生虫も存在しないという。その7 割を輸出しており、欧州を中心に日本や台湾、韓国にも輸出されている。
Dr Collin & Son は、エディンバラから70 キロ近く東のアイマスでラングスティーヌやブラウンクラブ(イチョウガニ)、ロブスター、つぶ貝などを供給する魚介卸。2008 年には独自の専用調理工場を設立し、50 台以上の運送車両を保有して物流面でもクオリティをコントロールしている。独自の開発にも熱心で、卵からふ化させて種の研究に役立てているのも特徴的だ。世界一の漁獲量を誇るスコットランドのラングスティーヌは、まさにこうした企業による商品価値の向上と、彼らにとっての商品であり、生命線とも言える生物をより良い環境で維持させるための努力の延長線上にある。