過大な不動産投資などから多額の負債を抱え倒産目前であった九州の名門ホテル「城山観光ホテル」の運営会社、城山観光(鹿児島県鹿児島市)を、私的整理後に社長職に就任し、見事再生させ、過去最高益を達成するまでにV字回復させた伊牟田均氏がこの6 月より社長職を退き、あらためて取締役会長に就任した。そこで、今回の「TOPINTERVIEW」では野村證券時代の企業育成・再生の手腕を買われた伊牟田氏が、再生事業に着手した08 年6 月から今年6 月までの7 年間にわたる取り組みの総括と、城山観光ホテルの今後の展望について聞いた。
聞き手・文:本誌 松戸敏朗
負債を返済しながらのホテル再生
❒ まずは取締役会長就任おめでとうございます。改めて城山観光ホテル再生の立て役者としてこの7 年間の総括をお願いします。
過大な不動産投資の結果、05 年3月期の城山観光の負債総額は約640億円に達し、事実上の破産状態でした。08 年3 月には私的整理が前倒しで終結しましたが、私はその後の経営再建のために選ばれ、同年6 月に城山観光の代表取締役副社長に就任、翌年4 月には代表取締役社長の任に就きました。このオファーがあった当時、私は野村證券グループの役員として定年を間近に控えており、野村・中国投資㈱取締役副社長兼オークラ ガーデン ホテル上海の副理事長を務めていました。当初はお断りしていましたが、度重なる熱烈な依頼と、故郷鹿児島への恩返しの意味も含めて引き受けることとしました。
❒ 就任時には負債は完全にゼロの状態だったのですか。
110 億円の負債がありましたので、それを返済しながらの経営再建でした。毎年9 億円ほど返済し続け、現在は60 億円ほどに縮小しました。