今回は北陸の中心都市であり石川県の県庁所在地の金沢市を取り上げる。市内は「加賀百万石」の城下町としての趣を湛え、庭園や工芸など絢爛な文化を今に伝えている。女性に人気の高い観光地である。北陸新幹線の開業によって首都圏での観光プロモーションが活発化し、一気に観光ポテンシャルが上昇した。以下に金沢市のマーケットと石川県の観光マーケットに充填を置いて見ていこう。
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毎月第2週号に掲載
1. マーケットポテンシャル
金沢市は石川県のほぼ中央に位置しており、市内にはJR 北陸新幹線や、北陸自動車道など高速交通網が発達して、広域交通に至便な立地となっている。金沢市の都市勢圏を見ると野々市市や白山市などを含む5 市3 町(金沢市含む)から形成されている。金沢市への就業・通学流入率を見ると野々市市から29.8%、白山市から21.2%、内灘町から19.7%、など、流入率の高い都市が多く見られ、都市勢圏における金沢市の影響力が強いことがうかがわれる。金沢市の自市内就業率は69.4%。
金沢市の商業ポテンシャルを見ると商業拠点性指数(※ 1)は1.25 で周辺の消費を吸引する商業拠点都市を形成している。都市勢圏内の主要都市の中では郊外大型SC を有するかほく市や野々市市の商業拠点性指数が高くなっている。金沢市の商業環境を見ると、金沢駅からやや南に離れたところに市内最大の繁華街である香林坊・片町地区があり、百貨店「大和本店」が入る「香林坊アトリオ」(店舗面積3 万2349㎡)や「香林坊東急スクエア」(1 万2372㎡)が位置している。また、JR 金沢駅周辺では「金沢フォーラス」(2 万6070㎡)や「金沢百番街」(1 万8180㎡)などの大型店があり、さらに郊外にも「イオンタウン金沢示野」(3 万144㎡)などの大型店も位置する。以上のように都市型商業施設から郊外型ショッピングセンターまで幅広い大型商業施設を有し、路面店や飲食施設も発達していることから、金沢市は多様な商業機能を有する都市と言える。そのため、金沢市は商業的にも求心力のある存在となっている。
金沢市は人口44 万9517 人(2017年12 月末人口)を有する中核都市である。県内の人口シェア39.4%を占めている。その他の県内主要都市を見ると白山市が11 万2085 人、小松市が10 万7021 人で、金沢市を含む3 市が県内で10 万人以上の人口を有する中心都市となる。金沢市は第2 位の白山市の人口の4 倍の規模であり、石川県内における人口構造は金沢市の一極集中であることが分かる。
増加率(17 年/ 12 年)を見ると金沢市は0.9%の微増となっている。その他主要都市を見ると、野々市市は6.4%で最も高い増加となっており、能美市は0.2%の微増になっている。それ以外の都市はすべてマイナストレンドとなった。その中でも珠洲市が▲ 10.1%、輪島市が▲ 8.3%、七尾市が▲ 6.6%で比較的大きなマイナス幅となっている。
金沢市の年齢構造を見ると若年人口比率は18.8%、適齢期人口比率は27.0%となり、全国レベル(若年人口比率18.0%、適齢期人口比率25.1%)をともに上回っている。その他の県内主要都市を見ると若年人口比率は能美市が21.2%、野々市市が20.9%、白山市が20.2%と高く、その他にもかほく市、小松市が全国レベルを上回った。適齢期人口比率は野々市市が33.9%と群を抜いて高く、その他では能美市が25.9%で全国レベルを上回った。石川県内では金沢市、能美市、野々市市の3 市が若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国値を上回っている状況である。高齢者比率(65 歳以上人口比率)を見ると金沢市は21.2%で全国レベル(23.0%)を下回り、県内主要都市では野々市市、白山市、能美市が全国レベルを下回っている。珠洲市、輪島市、羽咋市などは全国レベルを大きく上回っており、高齢化が進展していることが分かる。石川県内はエリアによって人口ポテンシャルが2 極化しており、金沢市、能美市、野々市氏においては若い活性化したマーケットが存在すると言える。
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※ 「石川県主要都市の人口マーケットトレンド」「石川県主要都市の年齢構成」「石川県主要都市の将来推計人口」「石川県主要都市の婚姻マーケットトレンド」「石川県への観光入込み客数」「石川県の観光目的日帰り・宿泊比率」「石川県の観光目的県内・県外客比率」「石川県の地域別観光入込客数」「主要観光施設別利用者数」「国籍別訪日外国人の石川県への訪問率」、解説、図表など詳細なデータにつきましては本誌ご購入、または電子版有料版にご登録いただけますよう、お願い申し上げます。
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