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第三十一講 「料理人の教育論」第三十一講  JR 北海道ホテルズ㈱ JR タワーホテル日航札幌 総料理長 田中 豊 氏 

専門外のゾーンに関心を広げることが、自身の成長を促すきっかけとなる

【月刊HOTERES 2018年10月号】
2018年10月24日(水)
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さまざまな料理人がいる中で、一人一人が持つ苦悩と挑戦の数々の物語がある。ホテル・レストランの総料理長が食の業界や若手の料理人に向けて伝えたいことは何か。これまでの長い経験の中で、どのようなことに悩み、どのようなことを考え、どのようにチームを創り上げてきたのか。インタビューを通じて後継者育成に向けた取り組み、マネジメント手法などを探るシリーズ「料理人の教育論」を月一連載(第4 週号掲載)でお届けする。

田中 豊(たなか・ゆたか)
1966 年岐阜県生。大阪あべの辻調理師専門学校卒業後、ホテル日航大阪へ入社。レストラン、宴会部門で調理の技術・経験を積む。同ホテルにて宴会料理長、洋食レストラン料理長を経て、2014 年よりJR タワーホテル日航札幌の総料理長を務める。

階層ごとに見える課題
改善に向けた施策とアプローチ
 
―まずは育成に対する意識や考えについてお聞かせください。
 
 人材育成を語るうえで、若手、中堅、管理職、階層ごとに課題があり、それぞれに対する細かで継続的な問いやアプローチが非常に重要なタイミングにあると感じています。具体的に申し上げますと、若手に対しては「叱られ慣れていない」という印象があり、メンタル面への影響を意識しながら指導。また環境面でも積極性を表に出しやすいよう、コミュニケーションにつながる一言を意識的に発信しています。中堅層へは、「教える」「伝える」という行動を全員が率先して行なえるよう指導しています。若手に対する取り組みが成果を出し、彼ら彼女らがやる気になったとしても、対応する近い立場のものがその気持ちを受けることができなければ意味がなく、最悪そこで摘まれた芽は二度と咲くことができなくなってしまいます。管理職には「どのように育てるか」ということを、一緒になって考えてもらうことです。上の世代になるほど、ダメだとは分かっていながらも、昔ながらのやり方から脱却を図ることは容易ではないかもしれません。中には根っからの職人気質を持ち、人の指導は不得手という方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらから時代の変化をお伝えし、変わっていただけるまで辛抱強く接していくことが重要であると考えています。

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