10 数年前に外資系ホテルを中心に導入されたレベニューマネジメント。ホテル収益向上に有効とあって今や、日本の多くのホテルで導入されつつある。まさに、第二次ブームともてはやされるほどの勢いだ。だが、短期的な収益とは別にホテルの乱立、民泊の台頭、五輪後の景気変動などを考えると不安を感じる経営者も少なくない。レベニューマネジメントを今後どう取り組んでいけば良いのか。既存顧客を大切にした経営を実践する、「リッチモンドホテル」を運営するアールエヌティーホテルズ㈱代表取締役社長 成田 鉄政氏と日本におけるレベニューマネジメントの第一人者として、その仕組みを提供するC&RM ㈱代表取締役社長 小林 武嗣氏に対談していただいた。
▶もともと、お二人の出会いは。
小林 きっかけは、成田社長からのお電話です。
成田 CRM の第一人者である小林社長から、基幹システムの新しい道筋に関するヒントをもらいたいと思ったのです。
小林 セミナーでご一緒したこともありました。印象的であったのは、「ホテルはストックビジネス」というお言葉。本質を突いていると感じました。レートにしても、会員がこれだけ来てくれると分かっていれば決めやすいのですが、今のレベニューマネジメント(以下、RM)はそれを全然気にしていません。成田社長は、どういう数値で評価をされているのですか。
成田 利益です。10 年後、15 年後を見据えたときに誰を大切にするかと言えば、会員様です。短期的な利益を作るのは難しくはありません。
▶ほかの人から見たら機会損失ですね。
成田 そこは、顧客との信頼関係です。リピーターが増えれば、稼働率が安定しますし、スタッフも成長します。販売促進費も減りますから収益改善につながります。
小林 オペレーションもリピーターが多いほど負担が軽くなります。生産性も新規のお客さまが多くなればなるほど下がると思います。