2017 年11 月5 日に、その生涯を閉じた山口祐司氏の「お別れの会」が、2018 年2 月5 日、帝国ホテル東京本館2 階「光の間」にて執り行なわれた。
当日は、日本のホテル業界、ホスピタリティー産業の発展に身を捧げ、経営者、教育者、研究者として大きな功績を残した故人を偲んで、各界から300名近い参加者が集った。受付は富士屋ホテル時代に山口氏の部下であった人たち、大学での教え子などが務め、その横には「山口祐司へのメッセージ」を書かれたホワイトボードが設けられ、参加者はそれぞれの思いをメッセージに託した。
会場構成は、正面に葬式でも使った遺影が飾られ、その前に献花台が。入り口からのアプロ―チには「山口祐司の思い出」と題されて、時系列を追ったポートレートが飾られ、「山口さんらしい写真!」など、参加者はそれぞれの思い出を口にしていた。会は、厳粛な賛美歌のBGM のなか、献花から始まった。
そして、愛娘で旅行作家の山口由美氏が開宴の挨拶に立った。晩年の闘病のこと、葬儀は家族葬にて執り行なったこと、お別れ会は故人の遺言であったことなどが語られた。その後、盟友でもあった富士屋ホテル元代表取締役社長の秋山剛康氏による献杯と続いた。
お別れの会というと、発起人や葬儀委員長を立てるのが一般的だが、今回は家族主催の会。それゆえのフレンドリーな雰囲気とホスピタリティーあふれる気配りが印象的だった。帝国ホテル東京で晩年よく訪れたという「なか田」の寿司など、故人の好物が並び、あちこちで歓談の輪ができた。
会場には、大スクリーンが用意され、1998(平成10)年、JR サービスシンポジウムで行なった基調講演などを上映。在りし日の山口氏の歯切れ良い語り口に故人を懐かしむ声があがる。閉宴時には丁寧に編集された追悼冊子が配られ、温かな会は幕を閉じた。