人材をテーマとしたセミナーを開催。人事担当者や現場責任者など約50 人が参加した。
開催:2017年5月23日 会場:マイナビ新宿オフィス
人材不足はますます深刻な問題となってきた。ホテルやウエディング業界など、サービス業に対して魅力を感じていない次世代が増えている。その一方で東京五輪の開催を目前にホテルラッシュは続いている。ウエディング施設の増加はおちついた感があるが、ホテルは増えている。その中でいかに有能な人材を獲得できるか、獲得後、あきらめさせない、やめさせないための職場環境作りとして何をすべきかなど、さまざまな切り口で展開した。
人材不足は深刻な問題であり、内定を出しても大半が辞退するという現象も引き起こしている。同業他社ではなくまったく異なる業界に就職を決めているようだ。確かにかつては人は“ 天から人が降ってくる” といわんばかりに、いつでも人を集めることができるという時代もあった。ところが今はちがう。企業側が必死に歩み寄らなければ人材を見つけ出すことが難しくなった。特に厳しい労働環境や低額な報酬を継続しているサービス業においては、ますます人材を確保することができなくなってきた。
かつては人気職種の1 つだったウエディングプランナーもしかり。まだウエディングにかかわる専門学校生の集客状況は良さそうだが、就職は厳しい。仮に就職をしたとしてもあまりのギャップに心折れてしまう若者が続出している。特に女性は結婚や出産なども抱えており、土日中心の仕事を継続することが難しく、断念している人材も多い。
その中で㈱テイクアンドギヴ・ニーズは共同託児所の運営を今秋より開始する。有能な人材に継続して勤めさせるためには、託児所の存在が不可欠となる。しかもサービス業に重視したもので、土日に子どもを預けれるようにした。単独ではなく横浜エリア内のホテルやレストランとの賛同、協調を図った。今後、都心にも託児所の設営を検討している。
やめさせない環境作りという点では社内間のコミュニケーションを活性化させる仕組み(㈱スタメン)なども発案された。特にホテルは部門間の壁があり、他部署との交流が少ない。釣りや漫画など共通の趣味を通して会話をするきっかけを作ったり、部門間を超えた会食に対して補助金を提供するなど、交流の場を作り出すための職場環境改善だ。
退職率の低い企業は“ 会社が楽しい”“ 仲間がいるから” を挙げていることもあり、楽しい会社、職場づくりも欠かせない。報酬以上に心の充足度が課題であり、心が豊かになれば多少きついと感じる仕事でも仲間とともに乗り切る勇気が持てるということだろう。
生産性を高めるためのシステム導入も重要な課題だ。特にウエディングはさまざまな発注や確認業務に時間を要している。残業時間を短縮化させるためにもシステムを導入することで、ある意味ムダな時間を短縮することが可能だ。今後はAI 技術が発達し、ますますロボット化が進む。人がやらなくてもできることはロボットで十分にこなすことができる。
日進月歩で進化している最先端技術も十分に研究していかなければならない。
今回のセミナーを総括するとやめさせない、あきらめさせないための職場環境改善は急務であり、コミュニケーションにあふれた職場を早急に作り出していかなければならない。そのためにも企業の将来を握る人事部の改革も必須だ。アピール下手、プレゼンテーション下手、人間づきあい下手な担当者が多く見受けられる。人事はもはや左遷の場所ではない、人事の力量が企業を左右するといっても過言ではない時代となった。100 万円かけて採用した大切な人材を、いとも簡単にあきらめさせていていいのだろうか。お金は無尽蔵ではない。もっと真剣に取り組んでほしいと改めて実感したセミナーであった。