ドイツのオトカー家が古くからヨーロッパ各地に個人経営していたホテル群をラグジュアリー・ブランドとしてまとめ、国際ホテル企業として立ち上げられたのがオトカーコレクションだ。世界からえりすぐりのマスターピースのみにコレクションを絞り、設立から8 年にしてラグジュアリー市場における独自の地位を固めつつある。同ブランドのセールス・マーケティング部門を統括するジャン=ピエール・スートリック氏に、その魅力と展望を聞いた。
ジャン=ピエール・スートリック氏(Jean-Pierre Soutric) オトカーコレクション セールス&マーケティング シニアバイスプレジデント
唯一無二のホテルが磨く
最高クラスのサービス
❐ オトカーコレクションについてお聞かせください。
オトカーコレクションの歴史は、ドイツのオトカー家が1923 年にバーデン・バーデンのホテル(現・ブレナーズ・パークホテル&スパ)を購入したことから始まります。一家はその後60 年代後半に地中海を旅行中、フランスのアンティーブ岬にある美しいホテル(現・ホテル・デュ・キャップ・エデンロック)を気に入り、二年後に購入しました。数年後、ル・ブリストル・パリとフレンチ・リビエラのシャトー・サンマルタン&スパも手に入れました。
正式にホテル企業化されたのは8 年前です。現在9 つのホテルを保有しており、5 ~ 6 年後に12 ~ 15 軒まで増える予定です。NY 市に新ホテル開業の準備が進んでおり、LA も候補地として挙がっています。
新ホテルを追加する際、MC の場合は該当ホテルがブランドに見合うものであるかどうかを査定し、マスターピースと判断されたものだけが加わります。マスターピースとは規模ではなく、建物に歴史と伝統の軌跡が残され、土地の人々に根付いている「最高傑作」を意味します。
❐ 独立型ホテルが集まった印象がありますが、経営の仕組みを教えてください。
あくまでホテル企業として、各ホテルの個性やスタイルを尊重します。場所によって定義や特徴が異なるため、一律のマニュアルを設けずそれぞれベストな方法で運営します。とはいえ、各々でマーケティングすることは難しいので、そこでブランドの良さが生かされます。国際的になればなるほどウェブやSNS のようなシステムをシェアすることでコストを抑え、その分お客さまに還元し、将来の投資につながりやすくします。
運営についてはブランド品質維持のため「ミニマム・オペレーティブ・スタンダード」(運営の最低基準)を設けています。ブランド名称やアイ・コンタクト、レストランでお客さまの着席後5 分以内に必ず注文を受けるといったことです。
これは、運営上の都合ではなく、あくまでもお客さまの利益のためのものです。場所は変わってもお客さまの志向はそう変わりません。お客さまのプロフィールや好みをシェアすれば、グループ内でより良いおもてなしができます。
会員特典制度の導入には今のところ慎重です。特典制度に運営コストを割くより、むしろお客さまのアメニティー充実を優先すべきと考えるからです。個人的な見解ですが、特典制度ではお客さまが番号となりお名前ではなくなります。大切なのはその方に喜ばれるサービスをすることです。お客さまは特典制度あるなしにかかわらず、われわれを気に入ってくださればまたご利用いただけるでしょう。