ホテルアリヴィオ―石川県七尾市にある72 室の小さなホテルだが、年間を通じて高稼働の上に、直接予約比率が90%を超えるという際立ったパフォーマンスを誇る独立系ホテルだ。ところが、9 年前の同ホテルは稼働率も低い大赤字のホテルで、一時は事業の存続も危ぶまれている状態であったという。同ホテルの再生を手掛けたのは、異業種勤めから実家に帰ってきた、当時32 歳の濱哲史氏。ホテル未経験、カネなし、コネなし、知識なしの同氏が、わずか2 年未満で黒字化を達成した背景にはどのような取り組みがあったのか。
聞き手・文 本誌・岩本 大輝
ホテルアリヴィオ 取締役 濱 哲史 氏
競合ホテルの進出で
あっという間に赤字に転落
❒ まずはホテルアリヴィオについて教えてください。
ホテルアリヴィオは石川県七尾市の駅前再開発で誕生した駅ビルの中に入居するホテルで、客室は72 室の小さな宿泊特化型ホテルです。開業当初は強豪もおらず稼働率も高く好調だったものの、開業2 年目に近隣に競合チェーンホテルが進出し、そこは大浴場もあるなど付加サービスも強く、あっという間にお客さまを奪われ、大赤字に陥ってしまっていました。
本業も含めて赤字が続いていたことと、さまざまな事情があって私が実家に戻る形でそれらの経営を立て直すこととなったのが9 年前、私が32 歳のころでした。