机上にもっと光量を
今やホテルは泊まるだけの機能にあらず、立派な仕事場であることを、ぜひリーダーの皆さんに理解していただきたいものである。例えば私のように、同じ県内で1週間ホテルを転々とする者にとって、ホテルは私の仕事場に変身するのだが、高級なシティホテルでも客室の明かりが足りなくて、仕事がはかどらないこともある。なぜ一向に改善されないのかと言うと、リーダーが自社の客室に泊まって原稿を書いたり、本を読んだりパソコンをたたいたりする経験がないからである。だがお客さまを大切に扱いたいのであれば、フロントのリーダーはもちろんのこと、客室がらみで宴会を取る営業部のリーダーも、自社のホテルの客室をタイプ別に順番に泊まって、私みたいに原稿を書いたり本を読んだり、パソコンのキーボードを叩いてみてほしいものである。そうするとはたから見ているのと、料金を払って泊まるお客さまの気持ちが分かるので、今の光量では少し暗いことに気付く。つまり暗いと目が倍疲れることが分かる。それに今は確実に高齢化社会になったわけだから、客室の机上はもっと明るくする配慮がほしいものである。
役に立たないハンガーは迷惑な話である
ホテルに泊まると、着替えた後のズボンは必ずと言ってよいほど、ハンガーにズボンをぶら下げる。ところが多くのホテルのハンガーは、耐用年数が過ぎているせいか挟む金具のバネが弱くなりすぎて、朝起きたらズボンがずれ落ちて、逆にしわくちゃになっていたという経験は、私ばかりではなく多くのお客さまが経験していることである。これでは客室にハンガーを置いてあげているというホテル側の自己満足すぎない。お客さまにお部屋を快適に使っていただくためには、客室のハンガーも含めて毎日の点検事項に組み込むべきで、リーダーの役目は、お客さまの「困った」をいかに減らすか毎日考えるべきなのである。またそれと同時に、そのことを客室のスタッフに教えてあげるのがリーダーの役目で、逆に教えていないからメンバーは育っていないのである。
第 114 回
鈴木 忠美 次世代リーダーたちに贈るメンタルケア術 これからの人材育成
第 114 回「お客さま目線に寄り添うために」
【月刊HOTERES 2017年03月号】
2017年03月17日(金)