リーズナブルな料金や利用者ファーストのプランが人気のリゾートを手掛ける㈱セラヴィリゾート泉郷。しかし、2008 年には事業の多角化や長引く経済不況などから会社更生法適用となった経緯もある。その状態から見事に再建を果たした立役者の一人である小西滋氏が今年8 月、社長に就任。小西社長に飛躍的な業績向上をかなえる営業手腕と哲学についてうかがった。
㈱セラヴィリゾート泉郷 代表取締役社長 小西 滋 氏
「北風と太陽」の考え方を大切に
❒ 社長就任おめでとうございます。小西社長はこれまでさまざまな業界で手腕を発揮されてきたとうかがいましたが。
一言でいうと私の人生は波瀾万丈です。大学卒業後、飲食企業、化粧品の卸問屋、不動産会社を経て2001年、50 歳の時に現在の㈱セラヴィリゾート泉郷の前身であるセラヴィリゾート㈱に入社しました。入社後は2 億円の赤字が出ていた小豆島のホテルを1 年で黒字化に成功し、当初3000 万円の価値しかなかった117 室のホテルが最終的には3 億円で売れたんですよ。ただし、ホテルを買う条件が私も同行することだったため、取得先の企業へ入社することになりました。その後、新規事業として葬儀会社の立ち上げにかかわっていたところに、セラヴィリゾート泉郷の前社長に声をかけられてホテル業界に復帰しました。当時は東日本大震災直後。赤字だった伊豆のホテルに赴任してそのホテルも1 年で黒字化し、3 年後に東京に戻ってきました。
❒ ビジネスで成功を収められてきた理由はどこにあると考えていらっしゃいますか。
私はこの43 年間、「物」を売ってきたという意識はありません。お客さまに幸せを売ってきたのだと自負しています。化粧品の卸会社では女性のお客さまがどんなオーデコロンを選んだら彼氏によろこんでもらえるかを考えました。不動産業で家を販売していたときは、最初の6 カ月間は銀行に通いつめて家をほしい人がどうしたらローンに通って家を購入できるのかを研究しました。すると7 カ月目にはトップの成績をおさめ、1 年目には部長になることができました。案内したお客さまは必ず購入に至りますから成績もトップになれるわけです。
このように私はどのような業種も相手の気持ちにより添っていくことがビジネス成功の秘訣だと考えています。儲けてやろうと思えばお客さまに拒絶され、その人をよろこばせたいと思えばお金を使ってくれるのです。イソップ寓話の「北風と太陽」と同じですね。この話は私の座右の銘といってもよいでしょう。