近頃パリにはすっかりお洒落なホテルが増えて、どれもそろそろ一緒に見えてきたところ。でも、ここ「ホテル・モリトール・パリ(Hôtel Molitor Paris)」は、きっと忘れられない一軒となるはず。というのも、ここピシーヌ・モリトールは1920年代から80年代にかけて、この街のちょっとした名物となっていた建物だから。屋内・屋外プールを一つずつ併設した見事なアールデコ建築で、クルーズ船のキャビンのような丸い窓付きの建物に囲まれるように造られたプールは小さな海のようにも思えます。
このプール、1989年に使用頻度の低さから閉鎖となって以来、20年以上も放置され、一時はストリートアーティストがこぞって集まる街のキャンバスとなってさえいました。それが2014年、再びアールデコの名残を見せたスイミング施設として第2のサイクルをスタート。今度はこの通り、建築家ジャン=フィリップ・ニュエル(Jean-Philippe Nuel)がデザインを担った高級ホテルも、その施設の一部となっているわけです。
屋内・屋外プールがあるという点だけでも、パリのほかのホテルとは一線画するこのホテル。けれどニュエル氏が手がけたとあって、再デザインおよびリノベーションもさすがと言うべき徹底的な完成度。既存の3階建の建物の上に、2階分のフロアを増築するにあたっても、冷静で近代的な見た目の中に、珍しい丸い窓や主にモノクロでまとめた色調テーマ、そして40年代風のモダニスト家具など、所々にアールデコの伝承を感じさせるヒントを編み込んでいます。
当然ながら、宿泊料金はプール利用料込み。一般利用料はなんと1日200ユーロ弱だから、それを考えればかなりお得。言うまでもなく、公共プールだった時代よりも、雰囲気・客層はエクスクルーシブ感がぐっとアップ。もちろん旧モリトールには、街を一望できる屋上テラスも、「クラリンス(Clarins)」のスパも、著名グルメシェフが手がけるレストランもなかったわけですから、それなりのアップグレードに対するそれなりの金額になっている、というわけです。旅の予算に余裕のある人にとっては、ここホテル・モリトールは、ほかでは体験できない特別な都会のホテル滞在を約束してくれること間違いありません。
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- 124 部屋
- スタイル: 現代的デザイン
- 雰囲気: にぎやか
13 rue Nungesser et Coli《Tablet Hotelsでより詳しい情報を見る》
Paris, France
Neighborhood: 16th Arr. (Trocadéro)
本記事の提供者:Tablet Hotels
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