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トップインタビュー  ㈱エフ・イー・ティーシステム グループ代表 代表取締役 兼 C.E.O. 中村 比呂志 氏、 グル-プ副代表 取締役副社長 兼 C.O.O. 沖 浩幸 氏

個性あふれる新ホテルブランドを本格始動 次世代に向けたホテル文化の創造を目指す

【月刊HOTERES 2016年06月号】
2016年06月10日(金)
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全国に「セレクトホテルズ」を展開するホテル運営専門会社 エフ・イー・ティーシステム(本社:東京都千代田区)が、二つのユニークな新ブランド投入の準備を進めている。一つは、インドネシア生まれの国際派ブランド「ザ・セレクトン」。もう一つは、和を意識した木造のロードサイドホテル「いやし処 ほてる 寛楽(かんらく)」だ。会社設立から10年を迎え、新たなホテル文化の創造に向けて意気込む創業者・中村比呂志代表取締役と、運営事業を統括する沖浩幸取締役副社長に今後の展望を聞いた。


㈱エフ・イー・ティーシステム グループ代表 代表取締役 兼 C.E.O. 中村 比呂志 氏


グル-プ副代表 取締役副社長 兼 C.O.O. 沖 浩幸 氏

 
 
インドネシア生まれの新ブランド
「ザ・セレクトン」を日本逆輸入
 
経営組織における新体制を発足させた狙いをお聞かせください。
 
中村 これまで実質わたしが一人で物件開発、資金調達、ホテル運営の三部門を見てきました。このたび、ホテル運営統括のプロである沖副代表に参画いただき、また会計管理については銀行関係の方にお願いし、いわば「開発・資金・運営の三権分立」によって組織が大きく強化されました。
 
 これにより、わたしとしては得意分野であるホテル開発にいっそう力を注ぎやすくなりました。開発のスピードも上がり、来期中にも新規物件を含む15~16件のホテル開業を予定しています。
 
 既存の「セレクトホテルズ」のブランドは非常に価値あるものです。しかしながら、これまで運営面でフルに力を発揮しにくいところもあったと思います。その道のプロがあらためてホテル運営をしっかりと見ていくことで、運営と開発の両者のバランスを取りながらグル-プ力をよりいっそう高めていくことが新体制の狙いです。
 
 
本格展開が予定される新ブランドの特徴と、今後の戦略についてお聞かせください。
 
中村 新ブランドの名は「ザ・セレクトンThe Celecton」です。「ザ・セレクトン」は、インドネシアの提携先企業であるPT セレクトン ホテルズ & リゾート インドネシアとわれわれが共同でつくった新しいインターナショナル・ホテルブランドです。インドネシアでは今後加速度的に開発を進めていきます。今年6月に第1号店を開業し、以後毎年4店ずつ、5年後には20店舗を達成させる意気込みです。
 
「ザ・セレクトン」は、戦略的にかなり細かな作り込みをしたブランドです。いくつかの種類があり、インドネシア1号店は「ザ・セレクトン・ブルー」のカテゴリーで、金額的に気軽にご利用いただけるビジネスホテルです。ブルーという言葉から想起されるように、落ち着いて静かにゆっくりとお過ごしいただけるカテゴリーです。宿泊代を比較的安価に抑えつつ、3ツ星でありながら朝食を充実させるなど4ツ星クラスのサービスを提供します。
 
 日本では、この「ザ・セレクトン」を逆輸入し、海外育ちの日本的おもてなしを武器とした国際ホテルブランドとして展開していきます。すでに2015年に「ザ・セレクトン 福島」が開業していますが、本格展開はまさにこれからになります。
 
 コンセプトは、とにかく楽しく面白いこと。一例を申し上げると、ホテル内をクルマで旅するという想定で、モチーフとしてフロントにスピードメーター、ロビーに本物のクルマがあったり、ハワイやイギリスや中国といった世界の国々をイメージしたインテリアが点在したりします。客室もヨーロピアン、アメリカン、和風など、さまざまテイストのものを用意します。
 
 インドネシアで試験的に似たコンセプトのホテルを1店開業したところ、これが大変好評で、稼働率が9割近くに上るまでになりました。この成功事例に倣い、クルマに限らずロビーにラジオ局を置いたりカフェを入れたりと、ホテルを特徴づけるさまざまな面白い提案をしていきたいですね。いわばホテルをフュージョン化して、これまでのホテルのイメージそのものを変えていく。外資系のデザイナーズホテルやブティックホテルに近い切り口です。
 
今後ますます注目を集めそうな「ザ・セレクトン」ですが、そのターゲットは。
 
中村 インドネシアでは、地元日本人をはじめ、東南アジア、東アジア圏、それに地元のある程度の企業にお勤めのビジネスマンの方々をターゲットにしています。宿泊料金は日本円にして5000~6000円程度。ハードについては、わたしの直接交渉によりクオリティーを維持しながらしっかりと建設コストを抑えられるよう徹底します。経済成長の著しいインドネシアですが、ずっとそうした状況は続かないことを想定し、将来的に国の経済成長が鈍化してもきちんと生き残りをかけていける、体力のあるホテルづくりを前提に開発を進めています。
 
 同じブランドを展開するにしても、インドネシアと日本とでは市場の質が異なります。日本では建設コストが高い上に、客室単価が5000~6000円では安価すぎるため、日本で展開する際には価格帯やホテルをしっかりと市場に合わせて作り込んでいきます。
 
中村 日本では新築を基本に、まずはワンランク上の「ザ・セレクトン・プレミア」というカテゴリーの投入を予定しています。高級クッションやカーペットなどにインドネシアならではの色彩やデザインを取り入れた、日本にはないコンセプトで統一してグレード感を出していきます。これまでの日本には見られない、個性的で格好の良い、主張のあるホテルとしてアピールしていきたいですね。客室は18㎡程度のゆとりを持たせ、原則的にシモンズベッドを全室導入します。
 
 インドネシア生まれのホテルですから、現地の商材もどんどん使っていきたいと考えています。ちなみに、現地提携先から「NYにある50室程度の小規模デザイナーズホテル的なもの」を、「ザ・セレクトン・シティボックス」というネーミングで展開してはどうか、という案も上がっています。これからの広がりが非常に楽しみなブランドです。
 

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