四季折々の景観をたずさえる、カラカミ観光のフラッグシップである定山渓ビューホテル
北海道の観光地で好きな場所が一つある。定山渓温泉だ。札幌の奥座敷ともいわれており泉質もいい。車での移動も楽。それでいて山間に囲まれた温泉地は程よい景観を醸し出し旅情豊か。四季折々の景観はなおさら素晴らしい。沢を流れる川音にも詩情を感じるほどだ。
数ある温泉旅館の中で定山渓を代表する宿泊施設と言えば「定山渓ビューホテル」(647 室)。経営は北海道を中心に全国で旅館を経営するカラカミ観光だ。そこの代表を務めるのは、2009年5 月に代表取締役社長に就任した片山達哉氏である。
これまで経営面でさまざまな苦境にたたされ、数々の苦渋の決断を強いられたが、一昨年4 月から経営基盤強化期ととらえ10カ年計画を発表。これに伴い業績は回復に向かい、26 年度の決算を含めて4 期連続の黒字を達成する見込みである。
片山社長は「予想以上の速さで経営を立て直すことができました。従業員の働きはもちろんですが、銀行さん、協力企業の応援もあったからこそと思っています。10 カ年計画はこれまでと違い財務体質を見ながら適切な投資を行なえるようになったということです。これまでは投資どころではありませんでしたから隔世の感があります」と語る。
いくつかの旅館・ホテルでレストラン、部屋などの改装を行なってきたが、大規模投資の実現の一つとして、玄関ロビー、大浴場を大改装し、今までの趣とは違ったものを醸し出す「洞爺サンパレス・リゾート&スパ」の一新は記憶に新しい。
北海道観光は今、多くの海外、特に東南アジアからのお客さまを迎えている。また今年度3 月の新幹線函館延伸もふまえると、北海道に対するお客さまのニーズはますます高まっていくと考える。
片山社長いわく「インバウンドがさらに増えるのは確実。もちろんインバウンドも大事にするが国内も重要です。要はバランスをどうとっていくか。定山渓、洞爺、阿寒における3 館のそれぞれの特徴と旅館ホテルの楽しさの追求、そしてカラカミ独自の魅力を最大限いかしながら、道内、道外、海外のお客さまに対して選ばれる旅館になることが重要。さらに戦略・戦術を動向や兆しを考えながら企画・発信することが大切になってきます」
またそのようなことに対応できるよう、ハード面の投資も大事なのだが、ソフト、つま
り人財の採用、育成にもさらに力を入れていきたいという。
理念でもある「まごころのおもてなし」を通して「癒やしとくつろぎの空間」を提供する企業として、当然ながら人と人とのかかわりが多いこのサービスだからこそ、人財の育成が何よりも大事だと考えている。
「経営理念から導かれる経営行動基準を策定し、社員全員が自分たちで判断し行動していく風土を作っていきたい。また人として成長をしたいと考えている人に対して、会社はその思いを大切にし、人事制度や研修等を含めて、どうしたらそのような社員を成長させることができるのか、を経営の軸の一つとしてとらえ、さらなる発展を目指したい」と片山社長は強く語った。