(株)西武・プリンスホテルズワールドワイドは「日本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン」を掲げ、国内外への拠点拡大と運営ホテルのパフォーマンス向上による成長を目指している。この成長を支えるのは「人財力」であり、社員の「働きがい」と「働きやすさ」の両面を重視した人財戦略を実行するとしている。
日本の観光業はインバウンド需要が下支えとなり、2024年においては訪日客数・消費額ともに過去最高を記録するなど、日本経済を支える成長産業となっている。そのような中、日本を代表するホテルチェーンである同社は、「最高の処遇を実現する」という考えのもと、社員の成長意欲を向上させ、力を発揮できる環境を整備すべく2025年度より初任給最大 31万円※1 や全社員平均 5.2%の賃上げを実施する。また、同社は新入社員への株式給付制度(西武ホールディングス株式を給付)※3 を新たに導入するなど、人財投資を強化することで長期的な成長を目指す。従来から実施している海外研修の拡充や福利厚生の充実、職場環境の向上などと合わせ、「働きがい」と「働きやすさ」の両面を重視した人財戦略を進めていくとした。
「働きがい」を重視した報酬制度改定のポイント
賃金改定など社員の処遇を大幅に強化し、グローバルかつ専門性高い人財の確保と社員一人ひとりのキャリアビジョンのもと、学べる環境と学びの成果を還元するサイクルを構築する。
<2025年4月より実施>
(1)初任給最大 31 万円※1 を支給および新入社員に対する株式制度の導入
① 2025年度の初任給は基本給引き上げ(ベースアップ)に加え、資格手当の新設により、総合職には最大31万円※1、高校卒には最大25万7100円※2 を支給
② 新入社員に対し、西武ホールディングス株式を給付※3
(2)賃上げ率平均 5.2%の実施および報酬構造の変更
① 全社員(約6,500名)を対象とした基本給引き上げ(定期昇給+ベースアップ)や資格手当の新設により、平均5.2%の賃上げ
② 賞与の一部を基本給に組み入れ、年収における基本給の支給比率を高める報酬構造に変更
(3)外国籍社員に対する勤務手当を月額1万円引き上げ
外国籍社員に対する勤務手当を改定し、月額2万円から3万円へ引き上げ
※1 総合職で資格手当を最大限付与した場合(月額5万円)の額
※2 高校卒で資格手当を最大限付与した場合(月額5万円)かつ首都圏エリアでの採用の場合の額
※3 株式は、入社日を起算として5年間在籍した場合に給付
「働きがい」を重視した報酬制度改定の概要
(1)初任給最大 31 万円を支給および新入社員に対する株式制度の導入
①2025年4月入社の新入社員に対する月額給与は基本給引き上げ(ベースアップ)に加え、新設する資格手当(月額最大5万円)が付与され、総合職社員においては最大31万円を支給。
②新入社員に対し、入社日を起算として5年間在籍した場合に西武ホールディングスの株式を給付。これにより、株式分が自身の資産に寄与する仕組みとなる。
(2)賃上げ率平均 5.2%の実施および報酬構造の変更
全社員(約6,500名)を対象とした基本給引き上げ(定期昇給+ベースアップ)の実施とともに、専門性の高い人財育成を目指した資格手当(月額最大5万円)の支給を2025年4 月から開始し、賃上げ率は平均5.2%となる。また、賞与の一部を基本給に組み入れ、年収における基本給の支給比率を高める報酬構造変更を同時に実施。基本給比率が高まることで業績に左右されにくい安定的な報酬構造となり、若い世代も安心して働ける体系となる。
◆保有資格のランクに応じた資格手当の新設
優れた語学力や高度な専門資格を有する人財に対し、業務貢献や取得難易度などに応じて月額最大5万円を支給。資格は「語学資格」と「専門資格」に分類し、支給額は月額3千円~2万円(複数資格保有者に対する支給額上限は合計5万円)となる。
(3)外国籍社員に対する勤務手当を月額 1 万円引き上げ
外国籍社員には語学スキルのほか、異文化を踏まえたうえでの接客スキルにおいても優れた人財が多く、日本人従業員とのコミュニケーションを通じ業務においても相互によい影響を与える存在となっている。このような背景により、外国籍社員の勤務手当を月額1万円引き上げることにより日本での生活をサポートすることに加え、今後さらなる外国籍社員採用に対する競争力を強化する。
「働きがい」と「働きやすさ」を重視した制度の一例
(1)キャリアアップを実現する教育制度
①海外派遣プログラム
グローバルスタンダードに精通した国内外ホテルの総支配人候補となる人財を育成するために、成長意欲の高い若手社員を対象とした海外事業所への派遣プログラムを運用。
【期間】1年間
【派遣先】ザ・プリンス アカトキ ロンドン(英国)、プリンス ワイキキ(米国・ハワイ)
②チャレンジ制度
社員が自らキャリアパスを構築することを支援する仕組みで、年齢や性別、経験に関係なく上位職や違うフィールド・ポジションに挑戦できる「チャレンジ制度」を2022年度より開始。2023年度以降、支配人登用やホテルの新規開業業務に携わるデベロップメント部などチャレンジ枠を拡充している。
(2)社員食堂利用の全新入社員1年間無料化
社員食堂を利用する全新入社員に対し、回数に関係なく1年間全額補助する制度を2023 年度より開始した。
(3)カムバック制度(再雇用制度)
退職する社員が退職時に事由に関わらず「カムバック制度」に登録することで、退職後10 年以内に再入社を希望した場合、再度社員として活躍できる制度を運用。
(4)職場環境の向上を目指した各種調査の実施
より働きやすい環境を整備するため個人や組織の状態を把握し、課題解決に向けて効果的なアクションへつなげていくため、エンゲージメントサーベイやパルスサーベイなどを定期的に実施。その調査結果をもとに、寮の改修やバックスペースの整備などを順次進めている。