今回は北海道の核都市の一つである函館市を取り上げる。本州との距離が近く、札幌市、旭川市に次ぐ人口規模で、北海道南西部の中心都市となっている。市内には多くの人気観光スポットを有しており、インバウンドも含め人気の観光地となっている。以下に函館市のマーケットをみていこう。札幌市、北海道のマクロマーケットについては札幌市編(『週刊ホテルレストラン』2023年 11月 10日号)を参照していただきたい。
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1.マーケットポテンシャル
函館市は北海道の南西エリア・渡島半島に位置しており、東・南・北が海に面している。道庁所在地である札幌市からは約 150km離れており、周辺には核都市と呼べる都市がないため、函館市は渡島半島の経済の中心を担っている。地理的に本州に近く、陸路、海路での本州からの交通の結節点である。また、国際貿易港として開港して、港町として栄えてきた歴史があり、市内には今もその風情が色濃く残っている。(図表1)
函館市の自市内就業率は 87.7%で、ほぼ自市内で完結している。都市勢圏は渡島半島東部に位置する北斗市、七飯町、木古内町などからなる 2市4町(函館市含む)と小規模なものとなっている。これは函館市の 3方が海に囲まれていることや、渡島半島の都市部は海沿いに展開しており内陸は山間部に阻まれているため、勢圏の拡大が難しくなっているためである。勢圏都市からの通学・通勤流入率を見ると、北斗市からは 63.4%、七飯町からは 67.0%となっており、隣接する北斗市、七飯町は函館市のベッドタウンとして機能している。函館市の商業拠点性※1)は1.05で、消費も自己完結している状況である。周辺では北斗市が 1.06と拠点性が高くなっている。
2016年 3月 26日には新函館北斗駅(北斗市)~新青森駅(青森県青森市)を結ぶ北海道新幹線が開業した。北海道新幹線は東北新幹線と接続しているため、都心部から北海道へのアクセスの選択肢が空路以外にもできたことになる。また、2030年頃には札幌駅までの延伸が予定されている。新幹線の駅は北斗市内に位置しており、函館市内には直接乗り入れていないが、開業後は札幌・函館双方を旅行の拠点にした回遊が期待できる。(図表2)
函館市の人口は 24万 4431人(2023年 1月1日現在)で、北海道の人口のシェア 4.8%を占めている。札幌市、旭川市に次ぐ道内 3位の人口規模を有していることになる。その他の道南西部主要都市を見ると、室蘭市が 7万 8252人、次いで登別市が 4万 5226人、北斗市が4万4366人、伊達市が3万2395人で続いている。函館市は道南西部の主な都市の中では最も大きい人口を有していることがわかる。 過去 5年間の増加率(23年/ 18年)を見ると、函館市は▲ 6.9%とマイナス傾向となっている。その他の道南西部主要都市を見ると、全ての都市でマイナス傾向になっているが、その中で七飯町が▲ 2.2%で比較的減少幅が小さい。(図表3)
函館市の年齢構造を見ると、若年人口比率は 13.5%、適齢期人口比率は 16.8%で、若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国値(16.7%、20.9%)を大きく下回っている。その他の道南西部主要都市を見ると、若年人口比率は北斗市が 17.2%で唯一全国レベルを上回り、適齢期人口比率は俱知安町が23.0%で全国レベルを上回っているのみとなっている。高齢者(65歳以上人口)比率を見ると、俱知安町以外の全ての都市が全国値(28.7%)を上回っており、また俱知安町、北斗市以外の全ての都市が北海道平均(32.2%)を上回っていることから、道内でも比較的高齢化が進展している。(図表4)
将来推計人口をみると函館市はすでに減少フェーズに突入しており、2045年頃には 2015年ベースから約 40%減少すると推計されている。その他の道南西部主要都市をみると、函館市と同様にすでに減少フェーズに入っており、将来的に 2015年ベースの 40%~ 70%程度になると思われる。道南西部において、人口規模が最も多い函館市の優位性は今後も変わらないものの、広域で将来的な人口ポテンシャルの縮小が顕著である。(図表5)
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2024年2月15日号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《函館市編》
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