「日本のホテルは、海外のシェフやレストランを連れてこなくてもミシュランの星の獲得は難しいことではないと思っています」そう語るのは、昨年6月にザ・リッツ・カールトン東京内にあるアジュール フォーティーファイブの料理長に就任をした宮崎慎太郎氏だ。ミシュランの星の獲得を至上命令に料理長に就任をした同氏は就任以降どのような取り組みを行なってきたのか? また、同氏が常に口にし、追求する「ホテル業界及び、飲食業界の社会的地位・意義・向上」にかける想いについても語っていただいた。
聞き手 太田 進 文 高澤 豊希
ザ・リッツ・カールトン東京 アジュール フォーティーファイブ 料理長 宮崎 慎太郎氏
ホテル側からのアプローチが
就任のきっかけに
❏ザ・リッツ・カールトン東京のファインダイニング「アジュール フォーティーファイブ」の料理長に就任するまでのいきさつを教えてください。
約2 年間、パリのグランメゾンとプティメゾンで修業した後、帰国してからの7 年間は東京・丸の内の「オーグードゥジュール・ヌーヴェルエール」の料理長としてずっと働きづめでした。そのため、「少しゆっくりでもしようかな」と考えるようになり、再度パリに渡ってみるのもいいかもしれないなどと考えを巡らせていました。そこで、まずはお店を辞めることを先に決めて、会社やお客さまにお知らせしたところ、ザ・リッツ・カールトン東京のスパメンバーでもあったお客さまから、「アジュール フォーティーファイブ」がこの2、3 年、シェフを探し続けているという話を持ってきてくださいました。ただ、当初自分はホテルのシェフという柄ではないと思い、そのままにしていました。
その後、私が辞めるという話がその方からホテルに伝わったようで、総支配人や人事担当者の方がお店に食事にいらっしゃいました。そして、食事を終えた総支配人が「決まりだね」というように拍手をして下さったのです。まだ何もお話しをしたわけではなかったのですが(笑)。
翌日、早速ザ・リッツ・カールトン東京のロビーラウンジに呼ばれ、すぐに条件の話になり、そこからスムーズに料理長就任の話がまとまっていきました。