帝国データバンクは、「全国旅行支援」などで急激に業況が回復している旅館・ホテル業の今後の見通しについて調査・分析を行った。
過去 1年間に帝国データバンクが調査した全国の旅館・ホテル業のうち、直近の業況が判明した約 800社を集計した結果、4割超の企業では前年同期に比べ「増収基調」であることがわかった。コロナの感染状況に業績が左右され続けてきた旅館・ホテル業界では、今年度に入り県民割やブロック割など、自治体主導の宿泊支援がスタートしたことで「宿泊稼働は前期より改善されている」など、観光需要が持ち直しつつある企業が多くみられた。
こうしたなかで、「Go To トラベル」以来およそ 1年 10カ月ぶりとなる全国規模の「旅行支援」がスタート。10月には新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されたことも重なって、今年度以降の業況は「増収」など先行き好転を見込む企業が急増したとみられる。この結果、10月時点までの各社業績推移を基にした 2022年度通期の旅館・ホテル市場(事業者売上高ベース)は、前年度比 1割増の 3.1兆円前後が予想され、21年度の 2兆 8509億円(0.5%増)に続き、2年連続で前年度を上回る見通しとなる。
その一方で、今年 9月時点で旅館・ホテル業界の 6割超が正社員・非正規社員ともに「不足している」と回答し、人手不足問題が顕在化している。雇用面を含めた受け入れ体制の整備など、持続的な需要回復に向けた取り組みが引き続き求められている。
旅館・ホテル 人手不足の動向(2022年 9月)
旅館・ホテル市場 推移(過去 20年)