----今後、施設を増やしていくときはどのようなビジネスモデルで進められるお考えですか
われわれはホテル事業者としてはプロフェッショナルではありません。当社の強みは製品開発、体験価値、体験開発を含めた開発力、デザイン力にあると考えています。モデルケースを自社で作成し、実際の開発は自治体や FC事業者の方々に拠点を作っていただき、運営や体験コンテンツを当社が手がけるというスキームがメインになると思います。
例えば本社のキャンプフィールドは、自治体がスノーピーク品質の高付加価値のあるキャンプ場を作りたいということで開発しました。このキャンプ場によって地方の集客が増えるという実績が上がり、そのモデルケースを見たほかの自治体の皆さんからの引き合いが増えました。いまでは当社が運営する 7拠点中、6拠点が自治体の開発したフィールドです。ここに当社が運営事業者として入っています。
----どのような形態の事業者や自治体と組んでみたいと考えられていますか?条件のようなものがあるのでしょうか
ホテル開発に限らず、基本的には協業によって互いの企業価値を高められるパートナーであることが最も重要なことだと考えています。その先にある新しい価値、文化が生み出せるパートナーかどうかが一番のポイントです。
宿泊事業に関してはビジネスホテルに興味があります。現在、グランピングなど高価格帯での価値提供はできていると思いますが、残りの 93%の方々に人間性の回復をしていただける可能性を秘めているのがビジネスホテル業界だと考えています。オフィスワーカーの皆さんにとって、この時代は一番人間性の回復を求めていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。ホテルに泊まりながらキャンプのような価値提供ができれば、その助けになると思います。
温浴施設や海外進出などさらなる事業拡大を目指す
----このたび、温浴施設も開発されるとのことですが、可能性を広げる大きなチャレンジになりそうですね
新潟県三条市にある本社敷地を拡張して、温浴施設を中心とした複合型リゾート「フィールドスイート スパヘッドクォーターズ」を 2022年春にオープン予定です。100%自社投資で、総工費も過去最大規模になっています。2011年にキャンプフィールドを開設したとき、温浴施設を併設したいという構想があったのですが、当時は企業規模に対して費用がかかりすぎるということで諦めました。われわれのキャンプフィールドは国内でもっともよいキャンプ場だと自負しておりますので、温浴施設もスノーピーククオリティのネクストレベルを目指す意気込みです。
----最後に、今後の事業計画およびビジョンについて教えてください
私は入社 10年目を迎えますが、入社時の売り上げは約 70億円でした。当時は 2025〜30年を目処に売上高 300億円を目標とする中長期の事業計画を作っていたのですが、足許の中期経営計画では 2023年の目標が売上で290億円となっており、入社当時の社内目標の達成が近くに見えてきました。今年は業績予想を売上高 245億円としており、営業利益 30億円としております。上場後は数字に対するコミットメントの意識も全社的に高まってきています。また、数字だけでは伝わりきれない企業価値のポテンシャルも全社的に感じています。今回の LIFE EXPOもB to Bのステークホルダーの皆さんに当社の未来をお見せできて化学反応も起こり始めています。
マーケットは現在 7.8割を国内が占めていますが、北米事業にも注力していますし、中国市場への進出も検討を進めております。コロナによって、世界中すべての人が自然への関わりを再認識し、求めていらっしゃると実感しているので、グローバル展開のポテンシャルも未知数であると感じています。