横浜・みなとみらい21 プロジェクトの先陣を切って1991 年に開業し、来年25 周年を迎える「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル」。節目の年を目前に、現在同ホテルでは抜本的な経営改革が進められている。その中心を担っているのが昨年11 月に総支配人に就任した千葉幹夫氏だ。通信機器や半導体メーカー、アパレル大手の㈱ファーストリテイリングなどを経て同ホテル婚礼部門に着任し、わずか3年にして総支配人に抜擢されたという同氏に、千葉氏流経営改革について伺った。
聞き手・本誌 岩本 大輝、構成・臼井 英裕
撮影・林 正、文・アクセント
ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル 総支配人 千葉 幹夫 氏
ホテル経営に、既存概念に
とらわれない新たな考え方を導入
❒ 四半世紀の歴史を持つホテルの総支配人に就任されたわけですが、ご感想をお聞かせください。
初めて当ホテルに着任したとき、ここで働くスタッフの方々の能力が高く、何より全員がこのホテルのことを深く愛していることが伝わってきました。ただし、私が経験してきた業界とは大きく異なるヒエラルキーにより、社員一人一人の自立と成長の弊害になっているのではないかと感じました。約500 人のホテルスタッフ一人一人がもっと自立できればこのホテルは大きく成長できると強く思いました。
❒ 自立というキーワードは、ホテル業界全体の課題なのかもしれませんね。
ホテルは多種多様で複雑なオペレーションの集合体で成り立っていますので、そのトップに立つ総支配人のほとんどの方は、ホテル業界でご活躍されてきた方ばかりだと思います。総支配人着任後、いろいろなホテルの総支配人の方々とお話をさせていただいているのですが、多くの方がオペレーションの不具合をすぐ発見し指導できるだけの経験と技量をお持ちで、そのチェック業務に多くの時間を割かれているとお聞きしました。
一方、私はそのような豊富な経験はないのですが、逆にお客さまの目線でオペレーションを見ることができます。そして私が前職で学んできたのはイノベーションをどう起こすかということでした。オペレーションは経験則の中心にあり、イノベーションは経験則の端にあるものです。すなわち経験則の深い方は、自分の経験則の中で判断しがちで、イノベーションを起こしづらいと思います。この端にある考え方を運営に取り入れれば、ホテルは変貌するはずです。もちろん簡単ではないことは承知していますが、ホテルの既成概念を打ち破り、お客さまに感動を与えると共に業界ナンバーワンの生産性を実現するために、私が選ばれたのだと肝に銘じています。